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SEP,2017
SEP,2017

音楽に関する仕事に就きたい!~ライブハウス店長兼ミュージシャン(クックヨシザワさん)~

# 音楽の仕事

投稿者 :しも

世の中に溢れるさまざまな職業の中で、音楽に関する仕事について取り上げるこのシリーズ企画。

今回は、バンドマンの聖地、東京・下北沢で22年続くライブハウス「BASEMENT BAR(ベースメントバー)」で店長として働きながら、自身もソロプロジェクト「ミートザホープス」でミュージシャンとして活動するクックヨシザワさんに話を伺いました。

クック吉沢

ベースメントバーは憧れの場所だった

−−−早速ですが、クックさんはベースメントバーの店長兼バンドマンということですが、最初に始めたのはもちろんバンド、ですよね?

そうです、バンドが最初です。中一くらいの時、ハイスタ(Hi-STANDARD)やブルーハーツ(THE BLUE HEARTS)にハマって、中学でバンドを始めました。

−−−ライブハウスに足を運ぶようになったのはその頃から?

いえ、まだ小学生とか中学生くらいだと「ライブハウスに行く」って発想がなくて、テレビやビデオでアーティストのライブ映像やプロモーションビデオ見て興奮していましたね。高校生になって地元(川崎)のライブハウスに出演するようになり、20歳の時、初めてベースメントバーのステージに立ちました。

ベース プロ どうやってなる

−−−ベースメントバーに出演したキッカケは?

その頃組んでいたバンドで、川崎を出て都内でも活動しようという話になった時に、メンバーの1人が「東京でやるなら絶対下北のベースメントバーに出たい!」と。ぼくはこれで初めてベースメントバーの名前を知りました。当時日曜日にオーディションライブやっていて、それに出演させてもらいました。

−−−ちなみに、どんなバンドだったんですか?

ジャンルでいうとロックンロールで、全員革ジャンというスタイルでした。いやあ懐かしい。(笑)ステージに立っていた時の記憶はあまりないんですけど、ベースメントバーでライブができるというのはとても誇らしかったです。

ベーシスト プロ

ライブハウスで働くことに戸惑った過去

−−−ベースメントバーで働くことになったキッカケは?

20歳の時に始めたバンドの解散後、2008年にミートザホープスを始めてからもベースメントバーでイベントをやったり、系列のライブハウスにも出るようになったりと、バンドマンとしてベースメントバーとの関係が深まっていきました。そのうちにスタッフの飲み会にも呼ばれるようになり、上司から「うちで働かないか?」と声をかけてもらいました。でも、一度はその誘いを断ったんです。

−−−それは何故?

その時、自分はあくまでバンドマンでいたかったので、ライブハウス側の人間になることに抵抗があったんですよね。裏方に回ってしまったら、ステージ立つ人間としての大切な何かを失ってしまいそうな気がしました。

ベーシスト 職業


それで、ずっと下北のお好み焼き屋でバイトをしながらバンドをやっていましたが、バンドを始めて10年くらい経った頃、ベースメントバーでバイトで働こうと決意しました。

−−−どういった心境の変化があったんですか?

バンドマンとして活動の幅を広げていくことを考えた時に、他のバンドと横の繋がりを築いていくことがとても重要になるんですけど、それには毎日バンドマンが集まる場所、ライブハウスに身を置くことが一番だと思うようになったんです。

−−−「ライブハウス側の人間」になることに対しては、どのように考えましたか?

それに関しては、バンドマンとしてのプライドを維持することよりも、仕事をしながらベストな状態でバンドができる環境を作ることの方が大切だなと気付きまして。それなら音楽に携わる仕事の方が楽しいじゃないですか。

クック吉沢 経歴

バンド同士を繋げる喜び

−−−店長になったのはいつですか?

今年の1月です。

−−−ライブハウスの店長って、どんな仕事をするんですか?

主な仕事はイベントの企画です。バンドやDJ、フード出店などを呼んで一日を自分でオーガナイズするパターンと、バンドやレコード会社、音楽事務所、イベンターなどの持ち込み企画をサポートするパターンと大きく分けて二種類あります。 また、一緒に共同企画なんてこともしばしばあります。 最近は深夜のDJイベントにも力を入れています。 店長の仕事というか、バイトの頃とやっていることはあまり変わらないですね。バーでお酒も作るし、トイレ掃除もしますし。 他のスタッフも同じように働います。

−−−店長ならではの仕事ってありますか?お金のこととか、クレーム対応とか。

お金のこと…ですか。売上目標はもちろんありますが、常にみんなで共有しているので、店長だからといって一人で課題を抱えているような感覚ではなく、みんなで頑張っているという感じだし、クレーム対応は、矢面に立つのは店長の仕事ですが、今のところあまりない上、他のスタッフもできるので…。(笑)

−−−つまり、周りに頼りながら気負い過ぎず働けている。ということですね。

そうですね!自分より経験の長いスタッフもたくさんいるので、助け合いながら楽しく働いています。

エレキベース

−−−仕事のやりがいを感じる瞬間ってどんな時ですか?

自分が組んだイベントで初めて出会ったバンド同士やDJ同士が仲良くなっていくのを見ていると、この仕事をやっていてよかったと思いますね。僕自身もバンドマンとして横の繋がりを求めていますが、自分が繋げる立場になれることもまた嬉しいです。

「ライブハウスは怖い場所」というイメージを変えたい

−−−店長として、ベースメントバーならではのこだわりはありますか?

一番こだわっているのは、接客ですね。どんなに音響や環境が良くても、例えば受付でスタッフに嫌な態度をされると台無しです。「ライブハウスは怖い場所」というイメージを変えて、「フラッと遊びに来たくなる楽しい場所」になるように、接客についてはいつもスタッフ全員で意識を共有しています。

ライブハウス 働く

店長として、同じバンドマンとして、出演者を見守る

−−−ベースメントバーで働くようになってから、バンド活動に還元されたことはありますか?

なんといっても、バンドとの繋がりが一気に増えましたね。ベースメントバーでは年間1000バンドくらい出演しますから。

−−−それはすごい!出演バンドは、ライブハウスにとってはお客さんですが、ミートザホープスにとっては、ある意味ライバルでもあるわけですよね?

そうですね。だから、ライブを観ながら「自分だったらこうするな。」とかはいつも自然と考えますね。あまり意識はしていませんが、そういう感覚はミートザホープスのライブにもいい意味で影響を与えているのかもしれません。

ライブハウス スタッフ

−−−しかし、やはり店長になってからステージに立つ機会は減ったのでは?

少し減りましたが、それでも月3本か、多い時は7本くらいライブすることもあります。

−−−減って月3本ですか?スゴイですね。

そうですね。ミートザホープスは自分以外固定のサポートメンバーで活動しているので、フルバンドでライブすることもあれば、人数が少ないこともあったり、1人で弾き語りもすることもあったりと、演奏する場所とメンバーのスケジュールに合わせていろいろな編成でライブができるんです。時にはベースメントバーで自分が企画したイベントに自分で出ることもあります。

それに、店のスタッフは自分以外にもバンドマンが多く、お互いの活動を尊重できるのもライブハウスならではですね。

−−−なるほど。やはりバンドマンにとってライブハウスはとても働きやすい場所だということですね。

ライブハウス 仕事

−−−それでは最後に、クックさんにとってベースメントバーの最大の魅力とは?

やはり「人」ですね。

私も初めて出演してからスタッフの人柄に惹かれて、気付けば自分も働くまでになりました。

楽しくて明るくて音楽好きなスタッフに、ぜひ会いに来てください!

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クックさん、素敵なお話をありがとうございました!

頼りがいがありながら、お茶目で周りから愛される。

気負わず自然体なクックさんの魅力は、ベースメントバーの店長としてバンドマンを支えつつ、ステージの上ではお客さんを踊らせ、笑顔にします。

ちなみにクックさんは、先日ミートザホープスで約3年ぶりの7インチレコードをリリースしました。

前作よりもタイトかつソウルフルにパワーアップした演奏で贈る、自称“サザンシモキタソウルナンバー”「うわさになりたい」と、ライブでもお馴染みの“乾杯推奨ファンクチューン”「ジャスミンハイ」の2曲は必聴!

レコードではもちろんのこと、ミートザホープスのゴキゲンなライブショーにあなたも足を運んでみては?

クック吉沢 ベース

ベースメントバー オフィシャルサイト

ミートザホープス オフィシャルサイト

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MUSIC LESSON LAB
投稿者
1984年生まれのフリーライター。 信州安曇野出身・東京多摩地区在住。 レゲエユニット「KaRaLi(カラリ)」でミュージシャンとしても活動中。