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2020.05.01 【プロが解説】ジャズギター初心者でもすぐに上達できる意外な方法とは?

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ジャズギターが上達しなくて悩んでいませんか?

ギターはさまざまなジャンルで活躍することができる楽器です。とはいえ、多くの方が真っ先に思い浮かべるジャンルといえば、ロックやポップス、そしてジャズでしょう。

いきなりジャズというと、ちょっと難しいイメージから敷居が高く感じられる方もいらっしゃるでしょう。ですが、私たちにとって身近なロックやポップスとは多少異なる部分もありますが、ジャズギターは決して難しいものではありません。

そこで、今回はジャズギター初心者でもすぐに上達できる意外な方法をご紹介していきましょう。

これからジャズギターに挑戦してみたいという方はもちろん、実際にはじめてみたものの、なかなか上達できないという方も参考にしてみてください。

ジャズギターが上達しない人にありがちな共通点

練習をしているにも関わらず、なかなか上達を実感できない…そんな悩みを抱えている方には、共通するポイントがいくつかあります。当然、すべての人に当てはまるというわけではありませんが、以下の点に覚えがある方は、改善してみましょう。

①手グセから抜けられない

これは、すでにある程度ロックやポップスなど、別のジャンルにおいてある程度ギターの経験をお持ちの方に多いポイントです。多くのギタリストは「手グセ」というものを持っています。

近年のジャズにおける主流となっているビバップジャズや、フリージャズにおいてはアドリブでのプレイがメインとなります。このアドリブにおいて、手グセが大きく影響するのです。自分で自由に弾いているつもりでも、自然とこれまでに弾いてきた「ロック風」「ポップス風」のクセが出てしまうもの。

具体的には、ロック系ギタリストの場合、自然とマイナーペンタトニックスケールを中心としたフレーズになってしまいがちです。これでは、ジャズのリズムに乗せても「ジャズ風ロック」になってしまいます。もちろん、これはこれで悪くはないのですが、スタンダードなジャズギターをマスターする上では障害となってしまうでしょう。

そこで、他のジャンルのギター経験者の方は、一度これまでの手グセから脱却し、ジャズ特有のフレーズをマスターすることを意識した練習が大切です。

そこで、ジャズで使われることが多いスケールの代表として、メロディックマイナースケールをご紹介しましょう。

このスケールはメジャースケールととてもよく似た構成になっています。そこで、Cメジャースケールと、Cメロディックマイナースケールを比較してみましょう。

・Cメジャースケール

C D E F G A B

・Cメロディックマイナースケール

C D E♭ F G A B

このように、同じく7音から構成されるスケールで、違いは3番目の音(3度)を半音下げたものとなっています。

わずかな差のように思えるかもしれませんが、実際に弾いてみると「ジャズっぽさ」を感じることができるでしょう。当然、その名の通りマイナーコードに合わせてプレイできるスケールで、ジャズにおいては多用されますので、ポジションを含めてしっかり覚えておきましょう。

②ジャズ特有のコード進行を覚えられていない

上記の通り、ロックやポップスとジャズでは使われるスケールが異なります。すると、当然コード進行にも特有のものがあるのです。

この特有のコード進行をマスターできていなければ、曲全体の構造を理解することができませんし、アドリブソロにおけるフレーズ展開もうまくできないでしょう。

そこで、ジャズ特有のコード進行のパターンを覚えましょう。

ジャズのコード進行として、最初に覚えたいのが「ツーファイブワン」と呼ばれる進行。その名の通り、2度→5度→1度という流れで展開していくパターンです。キーがCなのであればDm→G→C。さらにセブンスを加えた4和音で、Dm7→G7→CM7にすると、より「ジャズ感」が強くなり、あらゆる曲で多用されています。

進行の構造としては、安定と不安定の中間にあたるサブドミナント→不安定なドミナント、そして安定したトニックに着地するというもの。最後にしっかりとした解決感があり、とても落ち着いた印象となります。

続いてはマイナーの「ツーファイブワン」についても触れておきます。キーがCマイナーの場合、Dm7♭5→G7→Cmとなります。こちらの進行さまざまな曲で使われていますので覚えておきましょう。

ジャズの名曲として知られる「枯葉」では、メジャーとマイナー両方の「ツーファイブワン」が使用されています。ロックやポップスではあまり使われない進行なので、ジャズならではの進行を知りたいという方は、ぜひチェックしておきましょう。

③ジャズ特有のリズムに合わせてフレージングできていない

ジャズギター上達のために、欠かせないポイントとして、スケールやコード進行と併せて、もうひとつしっかりチェックしなければならないものがあります。それがリズム。

ロックやポップスにおいては8ビート、シャッフルビートが一般的。それに対して、ジャズにおいては4ビートが多用されます。

この4ビートに関しては難しく考える必要はありません。単純に1小節の中に4つの4分音符がある、と覚えればいいのです。もっと分かりやすくいえば、童謡などを4つ打ちの手拍子に合わせて歌うことが多いでしょう。これこそが4ビートです。

さまざまなリズムの中でももっともシンプルなもののひとつですが、8ビートやシャッフルビート、16ビートなどに慣れ過ぎているとこのリズムに合わせたフレージングができないもの。メトロノームやリズムマシンを使いながら、しっかりと身体で覚えるようにしましょう。

ジャズギターを上達させるためのテクニック

上記の通り、なかなかジャズギターが上達しない…そんな悩みを抱えている方にはいくつかの共通するポイントがあります。これらを改善することによって、より効率的な上達を望めるでしょう。

ですが、具体的にどのような練習・トレーニングをすればいいのかわからないという方も多いはず。そこで、ここではジャズギターを上達させるためのテクニックをご紹介していきましょう。

①コード進行のパターンを覚える

まず、どんなジャンルにおいてもギター上達のためにはコード進行のパターンを覚えることが重要です。

特にジャズギターの場合、先ほども触れました通り、ロックやポップスとは異なる進行パターンが使われることが多く、これらを覚えることが上達への近道となるでしょう。

先ほど「ツーファイブワン」という進行パターンについてご紹介しました。これは、ジャズの基本中の基本であり、さまざまな形に展開して使用することができます。

例えば、最後に4度のメジャーセブンスを追加することで、基本的な進行の雰囲気を壊さずに、変化をつけることができます。キーがCの場合、Dm→G7→CM7→FM7です。

この他にも、最後に転調コードを入れると、雰囲気を盛り上げながら変化を促すこともできます。

シンプルで、簡単なコード進行だからこそ、さまざまな方法で拡張が可能です。極端な例を挙げると、永遠に転調しながら進行を続けることだって可能です。

ジャズでは、多くの曲の中でさまざまな形で使われていますので、いろんな曲を聴き、展開の方法も身につけていきましょう。

②好きな曲をひたすら弾き込む

これはジャズギターに限った話ではありませんが、好きな曲をひたすら弾き込むのも、効率的な上達のためには有効です。

すでにご紹介しました通り、ジャズには特有のフレージングやコード進行、リズムが使われています。これらを身体で覚えるために、しっかりと弾き込むことが重要なのです。

とはいえ、いきなりギターを手にして譜面を読むのは、初心者の方にはあまりおすすめできません。まずは、曲を耳でしっかりと聴きこむことからはじめましょう。

音楽において一番大切なのは音です。ギターのフレーズはもちろんのこと、他の楽器やリズムも意識しながら聴きこみ、しっかりと曲を理解してください。

その上で、ギターを手にすれば、自然とジャズならではのテクニックを身につけることができるでしょう。

もちろん、教則本などに載っている練習フレーズを繰り返し弾くことも有効な練習法のひとつ。しかし、ジャズはアドリブなどが多用され、より実践的なプレイが求められることもあり、実際の曲を弾く練習がより有効なのです。

まずは、お気に入りの曲を探すことからはじめてみましょう。

③ジャズのライブを観に行く

今日ではネットなどでもあらゆるアーティストのライブや音源などを自由に聴くことができるようになっています。

ですが、ジャズは「生きた音楽」とも呼ばれており、生でなければ感じられないものも少なくありません。即興性の高いジャンルでもありますので、同じ曲でも音源とライブではまったく違った印象を受けるケースもあるほど。先ほども少し触れました「枯葉」などのスタンダードナンバーでも、プレイヤーが変われば、まるで別の曲のように変化します。

ジャズのライブは一般的なライブハウスでも楽しめますが、せっかくならジャズ・クラブで楽しみたいもの。

その代表のひとつがブルーノートです。もともとはジャズの本場であるアメリカの老舗ジャズ・クラブですが、日本でも東京と名古屋で営業しています。トップジャズプレイヤーの演奏に間近で触れることができますので、ぜひとも一度足を運んでみましょう。

・Blue Note TOKYO

http://www.bluenote.co.jp/jp/

ブルーノートと並んで、ジャズライブを楽しめるクラブとして知られているのがビルボード。こちらは、東京、大阪、横浜で営業しています。国内外を問わず、さまざまなアーティストの演奏を楽しめます。

・billboard LIVE

http://www.billboard-live.com/

ライブレストランのコットンクラブも、日本で本場さながらのジャズを楽しめるスポットのひとつ。落ち着いた雰囲気の中で、食事やお酒と共にジャズを堪能できます。

・Cotton Club

http://www.cottonclubjapan.co.jp/

この他にも、ジャズを楽しめるクラブやバーは多いもの。兵庫県の神戸市や、福岡県の北九州市など、ジャズバーが密集している地域もありますのでチェックしてみましょう。

④初心者向けジャズセッションに参加してみる

ジャズにもさまざまなスタイルのものがありますが、先ほどもご紹介しました通り、近年主流となっているのはビバップジャズやフリージャズ。これらのジャンルにおいてはアドリブでのプレイが重要となります。

もちろん、定番のコード進行やスケール、リズムなどを覚えることが大切ですが、実践しなければアドリブ力を磨くことはできません。とはいえ、時間的な制約のある社会人の方の場合、いきなりメンバーを探し、バンドを組むのは難しいでしょう。そこで、初心者向けのジャズセッションに参加してみましょう。

ジャズ・クラブやリハーサルスタジオ、楽器店や音楽教室などで、気軽に参加できるジャズセッションが開催されています。

いきなりセッションというと、初心者の方には敷居が高く感じられるかもしれません。ですが、基本的なコード進行を覚え、常套句的なフレーズをいくつか覚えればセッションを楽しむことは可能です。また、実際にセッションに参加することによって、さまざまなアプローチの方法を学ぶことができるでしょう。

一緒にジャズを楽しむことができる仲間を見つける機会にもなります。初心者にはまだ早いと考えるのではなく、初心者だからこそ、セッションによって得られるものは多いのです。

⑤ギターソロを歌ってみる

これから弾こうとしているソロを、まずは口で歌ってみることも上達に役立ちます。手を動かしているわけではありませんので、意味がないと思われる方も多いかもしれません。

しかし、口で歌ってみることはフレーズの音を理解し、覚える上でとても有効なのです。また、口で歌ったフレーズをそのままギターで再現することはアドリブソロを構築するトレーニングとなります。

フレーズを音階で歌い、演奏するとギターの指板上のどこに、どの音があるのかを把握することにも役立つでしょう。

このように、一見意味がないと思われるようなことが、効率的な上達に有効なケースも少なくないのです。

ジャズギターが上達するおすすめ練習曲5選

先ほども、曲を弾き込むことがジャズギター上達に有効であることをお話しました。もちろん、基本的には好きな曲を練習曲として選んでも問題ありません。

ですが、よりジャズギター上達の上でより有効な曲もあります。そこで、今回はジャズギターの定番練習曲を5曲ほどピックアップしてご紹介しましょう。

①Chitlins Con Carne|ケニー・バレル

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ブルースをベースとした「ブルースジャズ」の名手として知られるケニー・バレル。1950年代からプロとしてのキャリアをスタートし、早々にリーダー作をリリースしています。

ケニー・バレルのプレイの特徴は、シンプルなペンタトニックスケールを多用したフレージング。すでにご紹介しました通り、ジャズの世界ではメロディックマイナースケールなどが中心ですが、こういったスタイルも使われることを学ぶきっかけにもなるでしょう。

「Chitlins Con Carne」は名盤として名高い1963年リリースの「Midnight Blue」に収録された名曲です。ケニー・バレル風フレーズ、ブルースジャズをマスターするのにぴったりな曲です。

②Round Midnight|ウェス・モンゴメリー

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ジャズギターを語る上で、ウェス・モンゴメリーは絶対に外すことができないレジェンド中のレジェンドでしょう。1940年代後半から活動を開始。当時としては非常にモダンなフレーズを多用し、今日のジャズシーンに大きな影響を与えました。

プレイスタイルとしては、親指1本のみを使ったピッキング。このスタイルで独自の短音フレーズを生み出しています。

現在ではジャズギターの常套句となっているフレーズも多く、繰り返し弾いてしっかりと覚えていきましょう。

③Swing to Bop|チャーリー・クリスチャン

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モダンジャズギターの父とも呼ばれるチャーリー・クリスチャン。もともと、ジャズにおけるギターはコード弾きによる伴奏が中心でした。そんな中、チャーリーはアドリブやソロを弾くメロディ楽器としてのギターを見出したのです。先ほどご紹介したジャズギターのレジェンドと呼ばれているウェス・モンゴメリーをはじめ、多くのギタリストに影響を与えました。その影響はジャズの世界を超え、ロカビリーギターのレジェンドであるブライアン・セッツァーや、ハードロックシーンで活躍するジョー・サトリアーニらも彼からの影響を語っているほど。

わずか25歳という若さでこの世を去ったこともあり、そのキャリアは決して長いとは言えませんが、ジャズシーンを語る上で決して欠かすことができないギタリストです。

彼の曲を実際に弾いてみることで、ジャズギターにおけるソロプレイやアドリブを学ぶことができるでしょう。

④Minor Swing|ジャンゴ・ラインハルト

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ジャズはアメリカを代表する音楽ですが、ヨーロッパでも高い人気を誇るジャンルのひとつです。ジャンゴ・ラインハルトはベルギーで生まれ、ヨーロッパ初の偉大なジャズミュージシャンと評されています。

ギタリストとしてのキャリアは1920年代にスタート。その直後にジャズを本格的に聴くようになり、傾倒していきます。

そんな中、1928年に起こった火事で火傷を負い、右足と、ギタリストの命である左手の小指と薬指に障害が残ることになります。しかし、彼はこれを克服し、独自の奏法を確立しました。

その結果、それまでのジャズシーンではあまり使われることがなかったコード進行やフレージングが産まれています。実際に弾いてみることによって、モダンジャズの成り立ちを知るきっかけにもなるでしょう

ソロも多用しており、上記のチャーリー・クリスチャンにも大きな影響を与えました。

⑤Room335|ラリー・カールトン

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最後にご紹介するのは、現在のジャズシーンをリードするラリー・カールトンです。B’zの松本孝弘とのコンビでグラミー賞を受賞したのも記憶に新しいところ。

性格でありながら繊細なソロプレイ、そして多彩なバッキングが彼のプレイの特徴。モダンジャズのテクニックを学ぶ上で、彼の楽曲を実際に弾いてみるのは有効です。

愛用ギターはギブソンのセミアコースティックギターであるES-335。彼の代名詞的な存在であり、「Mr.335」とも呼ばれています。もちろん、この「Room335」という曲も、愛用ギターからです。

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敷居が高く感じられることが多いジャズギターですが、効率的に練習することができれば、短期間でも上達できることでしょう。

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この記事の執筆者EYS音楽教室 編集部

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