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2020.05.01 【プロが解説】ボサノバギター初心者でもすぐに上達できる意外な方法とは?

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ボサノバギターが上達しなくて悩んでいませんか?

音楽にもさまざまなジャンルがあります。ロックやポップス以外で、日本でもなじみ深いジャンルといえば、ボサノバを思い浮かべる方も多いでしょう。

ブルースやジャズなどと比較すると、新しい音楽のひとつで、そのルーツは1950年代後半のブラジルと言われています。詳しいルーツには諸説がありますが、リオデジャネイロやイパネマなどの南米海岸地区でクラス中流階級のミュージシャンの間で自然的に発生し、短期間の間で世界へと広がっていきました。

長谷川きよしや小野リサなど、世界的に知られる日本人ボサノバアーティスト、ボサノバギターの名手が多いこともあり、日本でもとても高い人気を誇ります。

爽やかでオシャレな響きのボサノバギター。その独特の音楽性に憧れてギターを手にしたという方も多いでしょう。

とはいえ、ロックやポップスと比較すると難しいイメージを持たれがちなのも事実です。そこで、今回はボサノバギター初心者でもすぐに上達できるコツや、具体的な練習方法をご紹介しましょう。

これからギターをはじめるという方はもちろんのこと、すでに他のジャンルでギターを楽しんでいて、ボサノバにも挑戦したいという方にも参考にしていただければ幸いです。

ボサノバギターが上達しない人にありがちな共通点

練習はしているはずなのに、なかなか上達できずに悩んでいるという方も多いでしょう。特に、ボサノバは私たちにとって身近なロックやポップスとは異なる点をいくつも持ち合わせたジャンルです。

さらに、ギターの中でもより繊細で、独特なスタイルでのプレイを要求されるクラシックギター(ガットギター)が用いられることも多く、これが壁となっている方もいらっしゃるようです。

もちろん、ギターが上達しない理由は人それぞれですが、いくつかの共通点が見られる傾向があります。

以下の点に覚えがあるという方は、まずはそこから見直してみましょう。

①ボッサのコード進行パターンを理解できていない

最初に挙げられるポイントは、コード進行のパターンを理解できていないという点です。ジャンルによってコード進行のパターンは異なっており、これを理解できていなければ、なかなか曲を覚えることができません。また、曲の理論的な構成が理解できなければ、演奏の自由度も狭まり、音楽を楽しめなくなります。

とはいえ、ボサノバの場合、ジャズやロックなどのように独自のルール定義が難しい部分もあります。なので、ここからご紹介するのは、基本的なボサノバギターのコードに対する考え方の一例です。

ボサノバは独特の響きを特徴としていますので、コード進行も他のジャンルとはまったく違っているもの…そう考えている方も多いかもしれません。

ですが、冒頭でもお話しました通りボサノバは比較的新しいジャンルのひとつ。そのため、いろんな音楽の影響を受けて誕生しました。中でも、特に大きな影響を受けているもののひとつがジャズです。他ジャンルとの関係性について語る場合、同じくブラジル産まれのサンバも外せませんが、コード進行について考える場合、ジャズの方が分かりやすいでしょう。実際に、ボサノバはジャズやサンバの一種であると定義されることもあります。

コード進行でも、ジャズの定番である「ツー・ファイブ・ワン進行」などが多用されているのです。

では、ボサノバらしい独特な響きはどこから生まれるのでしょう?その秘密はテンションノートにあります。ジャズでは、テンションノートとして7thが多用されますが、ボサノバでは9thや13thが加えられることが多いのです。これが、ボサノバらしいどこか涼しげで、オシャレな響きを生みだします。

具体例を挙げてみましょう。ジャズにおける一般的なCメジャーのツー・ファイブ・ワン進行は以下の通りです。

・Dm7→G7→CM7

それに対して、ボサノバであれば以下のようになります。

・Dm9→G7→CM9

実際に弾いてみると、同じ進行パターンであっても響きがまったく異なることがわかるでしょう。

ボサノバの場合、テンションノートが多く使われることもあって、コード進行がわかりにくく、また複雑に感じられるものです。しかし、基本的な進行パターンそのものは、それほど難解なものではありません。譜面を見ながら一度整理して考えてみましょう。

②ボッサのリズムパターンを理解していない

上記のコード進行やコード使い以上に、ボサノバというジャンルの特徴を決定付けているのがリズムパターンです。

ボサノバで使われるのは8ビートです。先ほども触れましたが、ボサノバはジャズの他にもサンバから強い影響を受けて成立した音楽です。サンバの場合、踊りのための音楽ということもあり、よりリズムが強調される2ビートです。しかし、ボサノバそこから派生し、より静かにリズムを刻む8ビートで刻まれます。

ただ、同じ8ビートであっても、ロックやポップスにおいてはドラムやパーカッションメインで刻まれます。それに対してボサノバではギターによって刻まれることから、受ける印象は大きく変わるのです。

ボサノバギターにおけるリズムの刻み方の定番のひとつをご紹介しておきましょう。それが今ピングです。コードのルートを弾きながら、残りのコード音でリズムを刻むという奏法。ジャズなどでも使用されますが、ボサノバギターのバッキングにおける定番の奏法ですのでマスターしておきましょう。

先ほどご紹介したコード使いにしてもそうですが、ボサノバというジャンルは、もちろん理論的に説明することは可能ですが、しばしば初心者の方にとっては難解な解釈となってしまいます。

なので、最初からすべてを理解しようとするのではなく、基本的な部分のみを押さえて、いろんな曲を実際に聴き、弾いてみましょう。そうすることで、自然とボサノバというジャンルをより深く知ることができるでしょう。

③ボサノバの文化・歴史を理解できていない

続いて、ボサノバという音楽がどういったものなのかを知ることも重要です。

冒頭でも簡単に触れましたがボサノバは1950年代の後半にブラジルの中流階級の白人ミュージシャンや学生によって誕生しました。ブラジルでは、以前から大衆音楽としてサンバが好まれており、ボサノバの成立にも大きな影響を与えています。

ボサノバはジャズの一種という意見もあります。ですが、ボサノバにはポルトガル語で「新しい傾向」「新しい感覚」といった意味があります。つまり、ブラジルにおいてもともと存在したサンバの「新しい傾向」として成立したという説が現在では有力となっています。

事実、ボサノバの成立は、サンバが中心だったブラジルの音楽シーンに大きな革新を与えました。少なくとも、この時点において、ボサノバはサンバの派生、あるいは新しい形のひとつと考えた方が自然です。

その後、1960年代に入るとアメリカを中心として世界に広がっていきます。この段階で、ボサノバは多くのジャズミュージシャンと出会うことになります。ボサノバの第一人者とも呼ばれるジョアン・ジルベルトがアメリカのジャズサックス奏者であるスタン・ゲッツと共に制作したアルバムはアメリカで大ヒット。世界にボサノバというジャンルを広く知らしめることになりました。

ボサノバのスタンダードナンバーの多くがポルトガル語で歌われていますが、これ以降、英語詞に乗せ替えて数多くリリースされ、ヒットしました。こういて、アメリカにも定着していきます。

言うまでもなく、アメリカは世界に向けた文化発信地でもあります。こうしてアメリカに定着したことで、ボサノバは世界へと広がっていきました。

しかし、ロックやポップスが広まるに連れて、ボサノバ人気はやや落ちていくことになります。ですが、各国の中流階級を中心に愛される音楽となっています。特に日本では2000年代以降、オシャレなカフェなどにマッチする音楽として再注目されるようになりました。ボサノバのスタンダードナンバーのみでなく、日本の歌謡曲やポップス、ロックなどをボサノバ風にカバーするアーティストも増えています。

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▲小野リサによるボサノバアレンジによるカバーアルバム「LISA CAFE II~Japao especial Mixed by DJ TARO」

このように、ボサノバがどのような歴史を持ち、どんな形で親しまれてきたのかがわかれば、さらにこのジャンルを楽しめることでしょう。

ボサノバギターを上達させるための教則本

ボサノバギターの場合、頭で考えるよりも実際にギターを手にして弾いてみた方が初心者の方にはわかりやすいものです。コードのテンションノートによる響きの変化などは、理論的に考えるよりも、耳で聴いてみた方が理解しやすいでしょう。

とはいえ、いきなり「ボサノバギターを弾く」といっても、何をすればいいのかわからないという方がほとんどのはずです。初心者の方であれば、それが当たり前です。

そこで、役立つのが教則本。ボサノバギターは人気が高いこともあり、さまざまな種類の教則本が各社から出版されています。そこで、ここでは中でも特に初心者の上達に役立つものをピックアップしてご紹介していきましょう。

①「ボサノヴァギターが弾ける本CD付」リットーミュージックムック

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これからはじめてギターを手にする方にもわかりやすいように、基本的なフォームやコード、リズムなどまで詳細に解説されている教則本です。

基本的な練習フレーズのみでなく、中級者向けのボサノバ風アレンジの方法などについてまで解説されていますので、長く愛用できる教則本となることでしょう。

また、デモ演奏のCDも付属していますので、正しい音を耳で確認しながら練習できるという点もポイント。

比較的硬派な教則本ですが、内容そのものはわかりやすいので、幅広い方におすすめできます。

②「5人の名手をマネるだけ!さらりと弾けるボサノヴァ・ギター【CD付き】」ヤマハミュージックメディア

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ギターの弾き方のみでなく、ボサノバにおけるコードワークやリズムなど、理論的な部分までしっかりとカバーされており、こちらもタイトルに反してかなり硬派で、純粋にボサノバギターを学ぶことができる教則本となっています。

ボサノバギターの基本となるコードワークの練習曲も豊富に掲載されていますので、これらをマスターするだけですぐにセッションなどでも活かせるでしょう。

③「はじめてのボサノヴァ・ギター入門[模範演奏CD付]:これ1冊ですべてがわかる!!」ドリーム・ミュージック・ファクトリー

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ギターの種類や、各部の名称や役割といった基本中の基本から、ボサノバギターにおけるフォームや楽譜の読み方などまで細かく紹介されている教則本です。

もちろん、ボサノバギターにおけるさまざまなテクニック、そしてトレーニングフレーズなども多数掲載されています。

最後には練習の総仕上げとして、ボサノバのスタンダードナンバーの楽譜も収録されており、最終的には無理なくプレイできるようになっているのも嬉しいポイントです。

こちらの教則本にも、模範演奏のCDが付属していますので、譜面を読むのが苦手な方にもわかりやすいでしょう。

④「初心者に絶対!!ボサノヴァ・ギター初歩の初歩入門」ドレミ楽譜出版

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ボサノバのスタンダードナンバーのみでなく、誰もが耳にしたことがあるポップスや童謡のボサノバアレンジなども題材として練習することができます。そのため、普段はあまりボサノバを聴かないという方でも抵抗なくはじめられるでしょう。もちろん、課題曲がわかりやすく解説されていますので、まったくギターに触れたことがない初心者の方にもおすすめです。

さらに、ギターとは直接関係ありませんが、音楽やボサノバを産んだ国であるブラジルに関するコラムも面白く、読み応え抜群です。気軽にボサノバに触れてみたい、またもっと深く知りたいという方のための教則本と言えます。

⑤「ジョアン・ジルベルト ボサ・ノヴァ・ギター完全コピー[新装版](CD付)」リットーミュージック

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最後にご紹介するのは、ボサノバ界を代表するアーティストとして知られるジョアン・ジルベルトの名曲をマスターできるこちらの書籍です。厳密に言えば、こちらは教則本ではなく楽譜・解説書に分類されるかもしれません。ですが、ボサノバのスタンダードナンバーとなっている名曲を実際にプレイしてみることは、ギタリストとして成長する上でかかせません。

ジョアン・ジルベルトには多くの名曲がありますが、中でも特に代表的なナンバーを10曲厳選して収録しています。

ボサノバギターが上達するおすすめ練習曲5選

何度か触れましたが、ボサノバギター上達のためには、実際に曲を聴き、弾いてみることが大切です。

とはいえ、ボサノバのスタンダードナンバーだけでもかなりの数がありますので、どの曲を練習すればいいのかわからなくなるもの。そこで、ここではボサノバギター上達に役立つおすすめの練習曲をピックアップしてご紹介します。

①「イパネマの娘」ジョアン・ジルベルト

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最初にご紹介するのはやはり、ジョアン・ジルベルトです。ボサノバを語る上で、絶対に外すことのできないアーティスト。いくつもの名曲がありますが、中でもアントニオ・カルロス・ジョビンが手がけた「イパネマの娘」は代表曲として知られています。

使われているコードは初心者の方にはやや難しいかもしれません。ですが、これはボサノバ全般に言えることですので、慣れていくにはいい機会でしょう。

ボサノバの定番リズムや、サンバっぽくリズムが強調された部分もあり、さまざまな表現・テクニックを身につけるのに役立ちます。

何よりも、ボサノバというジャンルを代表する名曲ですので、マスターして損はないでしょう。

②「カーニバルの朝」ルイス・ボンファ

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映画「黒いオルフェ」の主題歌として知られる「カーニバルの朝」もボサノバの代表曲のひとつ。映画の方があまりにも有名なため「黒いオルフェ」と飛ばれることもあります。

多くのアーティストによってカバーされていますが、作曲者のルイス・ボンファも、優れたギタリストとして高く評価されています。

ベース・コード、そしてメロディを同時に紡ぐというボサノバに求められる多くのテクニックを身につけるための練習曲としておすすめです。

③「オーガスト・デイ・ソング」ベベウ・ジルベルト

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続いては、女性アーティストをご紹介しましょう。べべウ・ジルベルトという名前を聴いただけで、ボサノバ好きな方であればピンとくるかもしれません。まさにその通りで、ボサノバの創世者のひとりとして、当ページでも何度かご紹介しましたジョアン・ジルベルトの娘です。彼女もまたボサノバアーティストとして10代のころから活躍してきました。昔からのスタンダードのみでなく、新しいボサノバも押さえておきたいという方におすすめです。

彼女はギタリストというわけではありませんが、アコースティックなサウンドが中心ですので、ボサノバギターの練習曲としても魅力的。

④「別れのサンバ」長谷川きよし

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続いては日本を代表するギタリストである長谷川きよしです。近年では、ロックミュージシャンの椎名林檎との共演などで、若い世代の方にも知られるようになりました。「別れのサンバ」はタイトルはサンバとなっていますが、和製ボサノバの代表曲と呼ばれています。

正確かつ、表情豊かなギタープレイはボサノバというジャンルを超え、すべてのギタリストのお手本となるでしょう。

⑤「FLOR DE YEMANJA」小野リサ

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続いてもまた日本のアーティストです。日本でボサノバといえば、多くの方が小野リサをイメージする方も多いほど。まさに代名詞的な存在となっています。

彼女の曲といえば、アコースティックギターと歌が主体のシンプルなものが多い中、こちらはパーカッションなどとのアンサンブルが活かされた曲です。ボサノバギターにおけるバンドアンサンブルを練習したいという方の練習曲にぴったりです。

ボサノバギターを上達させたいならEYSのギター教室へ!

ボサノバギターも独学で習得することは可能ですが、より効率的に練習したいのであれば、ギター教室に通うのがおすすめです。

EYSのギター教室でもボサノバギターを学ぶことができます。

そこで、最後にEYSギター教室についてご紹介しましょう。

短期間での成長を目指せるカリキュラム

ギター教室に通っても、ある程度弾けるようになるためには時間がかかるもの…そう思われている方も多いでしょう。

ですが、EYSには、これまで多くの方のレッスンを行う中で積み重ねてきたノウハウを活かし、独自のカリキュラムがあります。これによって、半年単位の短期間で着実な成長を目指すことができます。

練習はいつも楽しく!「ENJOY保証」

ギター教室にせっかく通い始めたとしても、レッスンが楽しくなければ継続することができません。そこで、EYSでは独自のレッスン評価システムと、ENJOY保証をご用意しました。講師との相性が悪いなど、もし、レッスンの内容に満足できなければ、無料で受け直すことができるのです。

ボサノバギターは独学での身につけることができますが、一方ですぐに挫折してしまうという方も決して少なくありません。

そこで、ギター教室に通えば、そんな挫折の防止にもなります。これからギターをはじめる上で、どう練習すればいいのかわからない…そんな方はギター教室に通うことを選択肢に入れてみてください。


この記事の執筆者EYS音楽教室 編集部

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