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NOV,2017
NOV,2017

【ボーカリストになりたい】音楽に関する仕事~歌い手で二児の母(NUUさん)~

# 音楽の仕事

投稿者 :しも

世の中に存在するさまざまな職業の中で、音楽に関する仕事について取り上げるこのシリーズ企画。

今回は、歌い手でありながら7歳と3歳の子の母でもあるNUU(ヌウ)さんに話を伺いました。

女性 シンガー

NUU(ヌウ)さんプロフィール

1976年6月17日生まれ。東京都出身。

アメリカのソウルやファンク、R&B音楽などを好む両親の影響で、幼い頃からStevie Wonder(スティービー・ワンダー)やRoberta Flack(ロバータ・フラック)、Aretha Franklin(アレサ・フランクリン)、Earth Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイヤー)などを聴いて育つ。

そして大学生のある日、父親のレコードを片づけている最中、アレサ・フランクリンの『hey now hey』と出会って衝撃を受け、音楽の道へ進もうと考えるように。

その後、在学中に初めて受けたオーディションに合格し、1998年にMAX FACTORのCMソング『青いドレス』でメジャーデビュー。大学卒業後は音楽専業の活動をスタートし、多くの作品を生み出しながら、全国で精力的なライブ活動を展開する。

2009年に結婚し、2010年に長女、2014年に次女を出産。2016年に母となって初となる8年ぶりのニューアルバム「うまれてきたから」をリリースし、今も活動を続けている。

初めてのオーディションでメジャーデビュー

−−−まず最初に、デビューした時の話を聞かせてください。NUUさんは21歳でデビューされましたが、やはり歌手は子どもの頃からの夢だったんですか?

「いえ、歌は好きで日常的に歌うことを楽しんでいましたが、歌手になろうという考えは全くなくて、福祉を勉強するために大学へ行きました。生まれた時から『周りの人に支えられて生きている』という感覚があり、福祉関係の仕事に就いて、誰かにそれをお返ししたいという気持ちがあったんです。」

−−−そこから音楽の道に進もうと思ったキッカケは?

「ある日、家で父のレコードを片付けていた時、ふとアレサ・フランクリンのレコードに針を落とすと、ただ掃除しながら聴いただけなのになんだかとても感動したんです。それはまるで、レコードから手が伸びてきてハートをわしづかみにされたような衝撃でした(笑)。」

女 アーティスト

「その時に『もしかすると音楽なら、福祉の仕事のように直接人に手を差し伸べなくても、誰かの力になれるのかも?』と、音楽をこれまでとは違った形で意識するようになりました。そして、同時に『私の歌は人が聞いたらどう思うのだろう?』という興味が芽生えて、オーディションを受けてみることにしました。ファッション雑誌のオリーブに載っていたアーティストを発掘する企画に応募したら、初めてのオーディションでいきなり受かってしまって、そのまま在学中にメジャーデビューしました。」

−−−それはすごいですね。在学中のデビューは大変だったのでは?

「最初からいきなりの激務でした。レコーディングやプロモーション、ラジオなど、次から次へといろいろなことが用意されていて、地方にも歌いに行ったり、ラジオにも出演したりと本当に忙しく、卒論をライブ会場の楽屋で書いたことを今でも覚えています。とても大変でしたが、短期間で色々な人に出会って、多くの経験をさせてもらい、その時に得たものは今でも自分の財産になっています。」

インディーズで自分の音楽を見つめ直す

−−−メジャーデビュー後、しばらくしてインディーズで再びデビューしていますよね。

「はい。メジャーとの契約が2年で切れ、3年ほど経った頃、アルバム『唄波』をインディーズレーベルからリリースしました。」

−−−メジャーとインディーズの違いを感じることはありましたか?

「メジャーの時は一流のミュージシャンと当たり前のようにライブやレコーディングをし、常に多くの関係者が関わっていましたが、事務所を離れた途端1人になってしまい、それまでとても恵まれた環境だったということを実感しました。そして、これからどうやって音楽を続けていこうか、真剣に考えました。

学生時代の頃にバンドをやっていたわけでもないので、一緒にやろうと声をかけられる音楽仲間もいなくて途方に暮れましたが、オーディションで急にメジャーデビューして、あれよあれよという間に歌手活動がスタートしていったので、今となれば一度自分自身を見つめ直すいい機会だったと思います。

その後、インディーズで自主レーベルを立ち上げてからは、自分でマネージャーさんを雇って、宣伝からイベントの企画、作品制作など、すべてのことをセルフプロデュースで行ってきました。大変でしたが、その分やり甲斐はありましたね。」

ぬー 歌手

 母として音楽を続けることへの葛藤

−−−2009年にご結婚をされ、その後2人のお子さんを出産されましたが、それによる変化はありましたか?

「まず2010年に長女が生まれると、それから作品制作はなかなかできなくなりました。でもその間、娘を連れてインディーズ時代に知り合った人の繋がりで全国いろいろなところに行って、歌は歌っていました。自主レーベルでガツガツ活動していた時の余韻も残っていたので、子どもをこちらのペースに巻き込むことでなんとか音楽は続けていられましたが、長女が幼稚園に入ったことで彼女の社会ができると、私のペースだけでは動けなくなり、音楽活動のペースはスローダウンしていきました。」

−−−子育てに追われて音楽活動ができなくなることにはどんな思いでいましたか?

「自分のペースで動こうとすると、どうしてもイライラしてしまうことがあるんですよね。『早く寝なさい!ママ明日ライブなんだよ!』って子どものことを叱ってしまったり。今でも日々葛藤はありますが、でも考えてみたら、私の歌って今しか歌えない歌ではないと気付き、もっと子どもと過ごす時間を大切にしようと思えるようになりました。」

ママ シンガー

生活の中で生まれては消えていく“小さな歌”

−−−母になって、自分の子どもに向けて曲を作ったりしたことはありますか?

「子どものために意図的に作った歌というのは特にありませんが、CDにはならないような“小さな歌”は日常の中でいくつも生まれています。」

−−−“小さな歌”とは?

「例えば『ぞ~うさん、ぞ~うさん♪』って、あの歌はコンサートでお金を出して聴くものではないじゃないですか。でも本来の歌って、『ぞうさん』のように、もっと日常の中に自然にある小さなものだと思うんです。

例えばさっきみたいに娘が床にお茶をこぼしてしまった時、(取材中に娘さんがお茶をこぼした絨毯を指差すNUUさん)『こぼれちゃったよね、かなしいな~♪じゃあ拭こうか、このタオルで~♪拭いてちょうだい自分で~♪』と歌で伝えると、娘が『ごめんねおかあさーん、拭きますね~♪』と歌で返してくれたりして。歌で会話をすると、お互い怒っていたとしても、不用意な衝突は避けることができて、なおかつ大事な想いはしっかり伝わるんです。

アーティストとしての活動は以前よりもできなくなっていますが、生活の中で生まれては消えていく小さな歌を通して、音楽本来の力の素晴らしさは子育てをしながら、ますます感じています。」

取材 NUUさん

−−−それでは最後に、これからの夢や目標を教えてください。

「今はとにかく、“小さな歌”をたくさん歌いながら、子どもとの時間を大切にする。それが目の前にある、日々の目標ですね。先輩のママさん曰く『子どもって意外と早く巣立ってしまう』らしいんです。小学校3〜4年生くらいになると、少しずつ親から離れ、友だちとの関わりが強くなっていくと思います。

そう考えると、今は本当に貴重な時間。後悔しないように、しっかり子どもと向き合っていきたいです。また、NUUとしてのアーティスト活動は『ちょっとずつでも続ける。やめない!』という気持ちでいます。いつの日か、私が母になってから気づいた日常の想いを集めて、作品として発表できたら嬉しいです。」

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NUUさん、素敵なお話をありがとうございました!

インタビュー中も不意に鼻歌を口ずさむNUUさんと娘さん。

何気ない日常が歌で鮮やかに色づくその瞬間を垣間見ることができて、思わず感動してしまいました。

家族と過ごす時間を大切にしながら、アーティスト活動を『やめない!』と語ってくれたNUUさん。

その言葉通り、12月4日には東京・国立の「ひとひとて」という小さな焼き菓子屋さんでミニライブをします!

母になったNUUさんの歌に、あなたも癒されてみてはいかがでしょうか?

ひとひとてライブの詳細はこちら

また、2016年に母となって初となる8年ぶりのニューアルバム「うまれてきたから」も好評発売中。

アルバムの共同プロデュースにはChoro Clubのギタリスト、笹子重治さんを迎え、おおはた雄一さんとのデュエット曲も収録。

なんでもない日常の些細な出来事を忘れられない歌にして、大人から子供まで一緒に楽しめる1枚です。

NUU 曲

NUU
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MUSIC LESSON LAB
投稿者
1984年生まれのフリーライター。 信州安曇野出身・東京多摩地区在住。 レゲエユニット「KaRaLi(カラリ)」でミュージシャンとしても活動中。