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OCT,2021
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活況極めるイスラエルジャズ 最初に聴くべきおすすめ名盤10選

# 音楽ネタ# 音楽ーアーティスト

投稿者 :ミュージックレッスンラボ編集部

ジャズの本場といえばアメリカ合衆国のニューヨークですが、もうひとつ、ニューヨークと同等かそれ以上に熱く注目されているジャズの中心地がイスラエルです。1990年代後半頃からニューヨークでイスラエル出身のミュージシャンが相次いで台頭し、オーソドックスな主流のジャズのスタイルに中東地域の伝統音楽を大胆に融合した音楽性はいつしか「イスラエル・ジャズ」と呼ばれる一大ムーブメントに拡大。今ではすっかり音楽ファンの間で認知され定着しました。

イスラエルジャズの魅力といえばやはり、イスラエルという地の文化的な多様性を背景とし、従来の西洋音楽の範疇に留まらない様々な感性をジャズに持ち込んだことだといえます。西洋音楽にはあまり見られない旋律であったり、7拍子や9拍子といった奇数拍子はイスラエルジャズでは自然です。作品を聴いて頂ければ分かる通り、彼らは皆、非常に個性的な音を奏で、そしてそのどれもが音楽的にもレベルが高く、それらがそのままイスラエルジャズの大きな魅力となっているのです。

ここではニューヨークやイスラエルの地で活躍するミュージシャンを知るためのお勧めの一枚をご紹介します。
新たな才能も続々登場し活況を極めるイスラエルジャズの入門編として、ぜひお楽しみください。

『Continuo』 / アヴィシャイ・コーエン

1970年生まれのベーシスト/作曲家のアヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)はイスラエルのジャズを牽引する存在です。22歳の頃にイスラエルから米国に渡りニューヨークの音楽学校ニュースクールで学び、1997年にチック・コリア(Chick Corea)のトリオのベーシストに抜擢し世界的に知られるようになります。
1998年に初のリーダー作『Adama』を発表、以降はイスラエルジャズを世界的に認知させたパイオニアとして現在も精力的な活動を続けています。

そんなアヴィシャイ・コーエンの最初に聴くべき一枚は、この『Continuo』(2006年)。マーク・ジュリアナ(Mark Guiliana, ds)、サム・バーシュ(Sam Barsh, p)のトリオを軸に、曲によってはゲストでウード奏者のアモス・ホフマン(Amos Hoffman)が参加。アヴィシャイ・コーエンらしい力強いイスラエルジャズの音を聴かせてくれます。

『The Road to Ithaca』 / シャイ・マエストロ

シャイ・マエストロ(Shai Maestro)は1987年生まれのピアニスト。19歳にしてアヴィシャイ・コーエン(b)のトリオのピアニストに抜擢されその名が知られるようになりました。随所にイスラエルらしいメロディーが散りばめられながらも、ヨーロッパ的で優雅な抒情性を感じさせる演奏が人気です。

2013年の『The Road to Ithaca』はなかなか強烈なインパクトのジャケットアートも、中身の音楽もとても魅力的で、イスラエルジャズらしい一枚。ヨーロッパのピアノトリオがお好きな方にもおすすめできる名盤です。

シャイ・マエストロは現在はドイツの名門ジャズレーベル、ECMから自身のトリオやカルテットを率いて精力的に作品をリリースしています。

『Amen』 / ダニエル・ザミール

ソプラノサックス奏者のダニエル・ザミール(Daniel Zamir)は最もイスラエルらしいジャズミュージシャンと言えます。ユダヤ文化に強く影響されたメロディーや怒涛の変拍子、循環呼吸も用いた超絶技巧の即興演奏、自ら歌うヘブライ語のヴォーカルなどなど…初めて彼の音楽に触れた方はその凄まじさに圧倒されます。

この『Amen』は2006年、アメリカに渡っていたダニエル・ザミールがイスラエルに帰国してすぐの作品。ピアノにオムリ・モール(Omri Mor)、ドラムにダニエル・フリードマン(Daniel Fridman)、そしてベースにはベテランのオメル・アヴィタル(Omer Avital)という編成も強力です。

『Ask for Chaos』 / ギラッド・ヘクセルマン

現代最高峰のギタリストと言われるギラッド・ヘクセルマン(Gilad Hekselman)の傑作が『Ask for Chaos』(2018年)。アコースティック編成の“gHex Trio”とエレクリックの“Zuper Octave”という二つのグループを率いて録音されており、さまざまなバリエーションの理知的なジャズが楽しめます。

ギラッド・ヘクセルマンは1983年生まれ。イスラエルの芸術学校で学んだあと、ニューヨークのニュースクール大学で学び、そのままジャズの最先端・ニューヨークの音楽シーンのなかで頭角を表しました。ニューヨークの様々なミュージシャンと共演を重ねており、その独自のジャズ表現で多くのファンの心を捉えています。

『Here Be Dragons』 / オデッド・ツール

1984年生まれのサックス奏者オデッド・ツール (Oded Tzur)はクラシック音楽を学んだあと、インドの古典音楽に傾倒したという異色の経歴の持ち主。そのサックスの音はまさに求道者のようで、他のサックス奏者とは異なる独特な深い精神世界を感じさせます。

2020年作『Here Be Dragons』ではイスラエルを代表するピアニスト、ニタイ・ハーシュコヴィッツ(Nitai Hershkovits)を迎えるなど鉄壁の布陣でしなやかな演奏を披露。派手さはありませんが、優美な演奏のなかに秘められた熱さがある名盤です。

『The Trumpet Player』 / アヴィシャイ・コーエン

本記事冒頭でもアヴィシャイ・コーエンというベース奏者を紹介しましたが、こちらはトランぺッター。同姓同名のアヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)です。このデビュー作『The Trumpet Player』のリリース当時(2003年)はベースのアヴィシャイ・コーエンが世界的に注目されていたタイミングでもあり二人を混同される場面もあったようですが、“ザ・トランペット・プレイヤー”と銘打つだけの自身に溢れた演奏でリスナーの度肝を抜きました。胸のすくような爽快な演奏は技術・感性ともに超一級です。

兄ユヴァル(サックス奏者)、妹アナット(クラリネット奏者)も著名ミュージシャンで、3人兄弟バンド“3 Cohens”の活動でも知られています。

『In Between』 / アリエル・バルト

アリエル・バルト(Ariel Bart)は1998年生まれの女性ジャズハーモニカ奏者で、近年ニュースクールを卒業したばかりという新星です。
デビューアルバム『In Between』では卓越したジャズハーモニカの技術を武器に、作曲面でも非凡なセンスを見せつける快作に。トゥーツ・シールマンスやスティーヴィー・ワンダーなどのジャズハーモニカの伝統を受け継ぎつつ、トルコなどの中東音楽、スペイン・アンダルシア地方の伝統音楽、北西アフリカ音楽など様々なジャンルの音楽を研究し自身の音を進化させています。まだまだ知名度は高くありませんが、要注目のアーティストです。

『Broken Balance』 / Shalosh

シャローシュ(Shalosh)は2013年にテルアヴィヴで結成されたピアノトリオ。ジャズロックやエレクトロニックミュージックからも影響された現代的なスタイルのジャズで人気を博しています。

日本の書家、祥洲氏がジャケットデザインを担当したこの 『Broken Balance』 (2020年)は、特徴的な曲名に象徴されるように物語性の強い作品で、それぞれの楽曲も展開に富んでおりとても聴き応えがある内容に仕上がっています。
現代的なジャズを聴きたい方にとてもおすすめできる一枚です。

『New Song』 / オメル・アヴィタル

前述のアヴィシャイ・コーエン(ベース)と並び、1990年代からニューヨークで活躍しその後のイスラエルジャズブームの先駆者となったのがこのオメル・アヴィタル(Omer Avital)です。中近東のエキゾチックな雰囲気と都会的で洗練されたニュアンスが同居する彼の音楽は、この『New Song』(2013年)でひとつの頂点を迎えています。

ピアノのヨナタン・アヴィシャイ(Yonathan Avishai)やトランペットのアヴィシャイ・コーエンらイスラエルを代表するプレイヤーを集めた真摯なイスラエルジャズの名盤。

『It’s About Time』 / オムリ・モール

アヴィシャイ・コーエンやオメル・アヴィタル、ダニエル・ザミールといったミュージシャンのサイドマンとして素晴らしい演奏を披露してきたピアニスト、オムリ・モール(Omri Mor)の初リーダー作がこの『It’s About Time』。

オムリ・モールはクラシックやジャズだけではなく、ユダヤ音楽はもちろんモロッコなどの西アフリカの音楽やスペインのフラメンコにも精通し、それらを見事に自分の音楽へと昇華させる天才的なセンスの持ち主です。超絶技巧から繰り出されるジューイッシュ・ジャズは必聴!

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