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NOV,2017
NOV,2017

同じ楽器でも全く違って聞こえる!?ロマ(ジプシー)音楽の魅力

# 音楽ネタ

投稿者 :ナカヤアキ

情熱的でエネルギッシュ、哀愁漂うバイオリンやギターの音色が魅力の「ロマ音楽」。思わず踊り出したくなる、独特のリズムが魅力です。

最近、映画などを通して日本でも徐々に認知度が上がりつつありますが、他のジャンルの音楽に比べるとまだまだロマ音楽に触れられる機会は少ないのが現状です。

今回は、ロマ音楽とはどんなものなのかルーツを紐解いてみましょう。ロマ音楽が堪能できる映画もご紹介しますので、最後までお付き合いください!

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独特の音楽を紡ぎ出したロマ民族のルーツは?

ジプシーとは

北インドにルーツを持つと言われるロマ。かつては定住をせずヨーロッパ、中東、アフリカなどの各地で移動をしながら生活していましたが、現在では定住している人がほとんどのようです。かつてはジプシーと呼ばれていましたが、最近では彼らの呼称「ロマ」と呼ばれることが多くなっています。

今から1000年ほど前、馬車などで故郷を離れ、占いや音楽、舞踊などで生計を立ててきた旅芸人が多く、各地の文化と融合して独自の文化を作り上げてきました。とりわけ、スペインやルーマニア、ハンガリーなどには色濃くロマ文化が根付いています。

ロマ音楽の特徴

音楽を奏でることが得意だった彼らの多くは、最初、現地の冠婚葬祭で音楽を演奏することで収入を得ていました。たどり着いた各地で異端児扱いされることが多かったロマですが、現地の音楽と上手く融合し、音楽シーンで活躍します。

ロマの人々は、音楽を自由に繰り広げ、リズムや修飾、ヴォーカル、テンポや音の強弱などを駆使し独自の不思議な空気感やノスタルジーの漂う音楽へと発展させていきました。ジプシー(ロマ)スケールやハンガリー音階といわれる独特な短音階を多用されるのが特徴です。

ロマ音楽はなかでもハンガリーの地で大きく進化を遂げたといわれています。ギターやドラムにクラシックでも使用されるバイオリンやビオラ、コントラバスなどの弦楽器が加えられ、ハンガリーの民族楽器ツィンバロムやターロガトーも加わり、国民的音楽へと発展していきました。クラシックにも大きな影響を与え多くの巨匠がジプシー音楽の要素を取り入れた名曲を残しています。下記の曲はその一部です。

ハンガリー狂詩曲(フランツ・リスト)

チャールダーシュ(ヴィットーリオ・モンティ)

スペインではアンダルシア地方の音楽やアラブ音楽と融合し、世界無形文化遺産として登録されいるフラメンコ音楽として発展し世界的にも人気を博しています。また、フランスではジャズに取り入れられ、ジャンゴ・ラインハルトなどが名曲を残しています。

日本を代表するジプシーヴァイオリンの演奏家、古館由佳子さん

日本にもロマ音楽の演奏家がおり、それが古館由佳子さん。桐朋音楽大学でヴァイオリン演奏を学び卒業した後、日本のオーケストラなどで演奏していました。

しかしある時、ロマ音楽の演奏を観て、瞬時にその音楽の虜になったそうです。独学でロマ音楽をヴァイオリンで弾き始め、その後ハンガリーに渡り本場のロマ音楽を学び、ロマ楽団創設の祖とされるヴァイオリニスト、ツィンカ・パンナの生まれ変わりとして賞賛を受けるなど、国内外で活躍されています。

ロマ音楽が楽しめる映画

映画を通してロマの生活や文化を知り、彼らの奏でる音楽を楽しむのもオススメです。魅惑的なロマ音楽がたくさん登場する映画を紹介していきましょう。

『黒猫・白猫』


ユーゴスラビアのとある田舎町で暮らす、あるジプシー一家に巻き起こる詐欺事件や恋愛騒動を面白おかしく陽気に描いた爆笑ドタバタコメディ。

『ジプシーキャラバン』


スペイン、ルーマニア、マケドニア、インドの4つの国の5つのロマバンドが北米諸都市を巡る“ジプシー・キャラバン・ツアー”の様子を撮った音楽ドキュメンタリー映画。

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自身もロマの血を引き、ロマを題材に取り上げることの多いトニー・ガトリフ監督。有名俳優を採用せず、単純なストーリーのなかで表情豊かな人々の喜怒哀楽を描き、バックにはロマ音楽を流すことでも有名で、映画ファンのみならず音楽ファンからも人気を得ています。ロマ音楽を存分に楽しめるガトリフ監督の4作品をご紹介いたします。

『ベンゴ』


フラメンコの頂点に君臨するアントニオ・カナーレス主演。スペインのアンダルシア地方を舞台に娘を失った悲しみに暮れる男とロマファミリーの復讐の物語。フラメンコギターの最高峰に立つトマティートが奏でる印象深いロマ音楽とアラブ音楽のジャムが繰り広げられる冒頭のシーンは圧巻です。

『僕のスウィング』


フランス中部以北からベルギーにかけて暮らすロマ=マヌーシュの音楽とスウィング・ジャズが融合されたマヌーシュ・スウィングをバックに使用した10歳のフランス人少年とロマの少女のひと夏の忘れられない経験を綴った淡い恋の物語。

『ガッジョ・ディーロ』


父の遺したロマの歌のテープに興味を持ち、その歌声の持ち主の少女を探すたびに出る青年。やがてルーマニアでその少女の住む村にたどり着くが、よそ者扱いされながらも、次第に村に溶け込み、村人や少女と音楽と魂で結びついていく。

『ラッチョ・ドローム』


約1000年前に始まったロマの放浪の歴史を音楽を通して綴った歴史ロードムービー。セリフではなく音楽とダンスのみでストーリーが描かれ、とことんロマミュージックに浸ることができる1本。

多様性も楽しめるロマ音楽

ジプシーの音楽

優れた音楽センスを持つ流浪の民だったロマは、たどり着いた土地の音楽と融合し、さらに素晴らしい音楽へと発展させてきました。各地のロマ音楽を聴き比べてみるのも楽しいですよ。

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MUSIC LESSON LAB
投稿者
幼少から音楽のある環境で育ち、気がつけば音楽が大好きに。クラシック、ジャズ、ロックはもちろん地球上にある音楽が大好きです。明るく前向きに、をモットーに元気になれるストーリーをお届けします。