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JUL,2017
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【チェロの名曲・有名曲】美しい音色が堪能できるチェロの曲5選

# 音楽ネタ

投稿者 :山田洋路

最近ドラマにもたびたび登場することで、チェロという楽器を知った方も多いのではないでしょうか。同じ弦楽器でも、ヴァイオリンと比べるとそれほど目立つ機会は多くないチェロですが、意識して聴くようになると表現力や音色の豊かさに聴き惚れてしまいます。

チェロは見た目、音ともに、とても存在感がある楽器。チェロ独奏では、優雅でダイナミックな演奏を聴くことができます。じつはチェロは大人の習い事としても人気が高い楽器の一つです。

今回はチェロの代表曲と呼ばれるものを5曲ご紹介します。曲を聴いて荘厳なチェロの音色をたっぷりと堪能してみてください。曲に入る前に、まずは歴史から紐解いてみましょう。

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チェロの歴史

■「チェロ」の語源は「コントラバス」からきている

「チェロ」の語源はコントラバスをあらわす「Violaone(ヴィオローネ)」(大きなヴィオラ)で、末尾に「小さな」を現す「cello」がくっついたことで「Violoncello(ヴィオロンチェロ)」(直訳すると「小さな大きなヴィオラ」)という楽器になりました。

いまでもこれが正式名称で、「Vc」と略されます。ちなみにここでのヴィオラは現在ある楽器のヴィオラではなく、弦楽器全般を指しています。

■チェロはヴァイオリンの仲間

チェロは弓や棒で弦をこすって音を出す「擦弦楽器(さつげんがっき)」の一種になります。擦弦楽器が絵画などに頻繁に登場するようになったのは15~16世紀。ヴァイオリンの祖先として、まずヴィオール属の「ヴィオラ・ダ・ブラッチョ(腕のヴィオール)」「ヴィオラ・ダ・ガンバ(膝のヴィオール)」などが一般的に演奏されるようになります。

初めのチェロは、ガスパロ・ディ・ベルティロッティ(1542-1619)によって製作されました。そこから現代に至るまで、名工と呼ばれる人たちが名器を残しています。有名なのが、イタリアのニコラ・アマティやその弟子のアントニオ・ストラディバリです。ほかにも、数々の名工によってチェロは洗練されてきました。

■チェロの大きさやフォルムの進化

チェロやヴァイオリンがおおむね現在のスタイルに定まったのは18世紀後半。18世紀後半に、ヴァイオリンの仲間が現在ある4種類(ヴァイオリン、チェロ、コントラバス、ヴィオラ)に統一されます。

チェロについても、それまで弦の数が3~5弦と定まっておらず、調弦法についてもさまざまなものがありました。弦の数が4弦に定まり「C-G-d-a」の調弦法に落ち着いたのが17世紀前半だといわれています。

18世紀以降になると、指板が長くなり、薄い板でも弦の張力に耐えられる形態になり、弓の形状も変化します。響口の形や駒のカーブ、魂柱(サウンド・ポスト)の発明など細部に至るまで、より大きな音が出せるように変更が加えられていきました。

その後もチェロは、ビオラ・ダ・ガンバのように、両膝に挟んで弾かれていましたが、19世紀後半になってようやくエンドピンが付いたようです。さらには、弦の素材にスチールやナイロンが一般化したのは20世紀初頭のことで、それまではガット弦が用いられていました。

ちなみに現代のような大音量が出せる設計になったチェロを「モダンチェロ」、以前のものを「バロックチェロ」と区別することもあります。

チェロの名曲5選

1.ヨハン・セバスチャン・バッハ 『無伴奏チェロ組曲』

じつは、スペインの音楽家パブロ・カザルスが出てくるまでは、チェロ組曲の価値は世の中でまったく理解されていませんでした。コンサートのなかでも組曲のなかから1~2曲演奏される箸休め程度のもの。カザルスがJSバッハの「無伴奏チェロ組曲」の価値を再発見し世に広めることで、チェロに対する評価が上がります。

カザルスは、脈絡がなく小曲が寄せ集まっただけに見えた組曲を、調性の工夫などによって壮大な一つの楽曲に組み上げました。全6曲をいわば一つの宇宙として構成することはバッハの意図するところでもあったようです。

ちなみに無伴奏チェロ組曲第6番ニ長調は、現代のチェロ組曲よりも広く音域が使われていて、バッハは5弦の「ヴィオロンチェロ・ピッコロ」で演奏することを想定したと考えられています。

2.カミーユ・サン⁼サーンス 『動物の謝肉祭 より「白鳥」』

音楽や演奏会で聴く機会の多く、誰もがよく知っているサン⁼サーンスの「動物の謝肉祭」は、ライオンや亀、象などさまざまな動物が行進する様子が表現された楽しい曲でもあります。サン⁼サーンス本人も別の交響曲の作曲に追われるなか、その息抜きとしてこの曲を作曲したことを告白しています。

いまでこそ超有名となった「動物の謝肉祭」ですが、じつはサン⁼サーンスの生前には、「白鳥」以外の公開演奏や出版を本人が禁止していました。その理由は明らかになっていないのですが、この曲が広まったのはサン⁼サーンスが亡くなってからのことです。

曲は起承転結のある一つの物語になっていて、チェロの演奏が映える「白鳥」のパートは、ユーモラスで軽いそれまでの流れをグッと引き締め、エレガントな雰囲気へと変化させる役割を果たしています。

3.アントニン・ドヴォルザーク 『チェロ協奏曲 ロ短調 作品104』

「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」は、チェロ協奏曲の中で最も評価が高く人気のある曲です。すべての名チェリストは、もれなくこの曲を演奏していますし、CDや演奏の数でもダントツでしょう。また、演奏時間が40分にも及び、独奏部ではチェロの持つ表現力を最大限に活かすことが求められます。このことから、チェリストにとっては技巧が試される難曲でもあります。

この曲は、ドヴォルザークの望郷の念から生まれましたが、作曲中に友人で初恋の人でもあるカウニッツ伯爵夫人が亡くなったことから、第3楽章に静かなチェロのモノローグが付け加えられています。

ノスタルジックで哀愁漂う旋律と、広い音域を活かした素早く力強い演奏の対比が随所で見られ、管弦楽との対話がチェロの独奏を引き立てます。

特にフィナーレが印象的で、チェロの演奏をオーケストラが引き継ぎとても力強く演奏を終えます。これには、郷愁や哀悼を乗り越えるドヴォルザークの意思が感じられ、聴く人にも力を与えてくれるでしょう。

4.ダーヴィッド・ポッパー 『ハンガリー狂詩曲』

この曲を作曲したポッパーは、自身が名チェリストであり、ピアノの演奏も得意としていました。このため「ハンガリー狂詩曲」でも技巧的なパートが目立ち、ピアノがチェロを引き立てるものとなっています。優雅さと躍動感があり抑揚が効いた旋律は、チェロに馴染みのない方が聴いても、わかりやすいものになっているでしょう。

7つのハンガリー民謡が取り入れられているほか、リストの「ハンガリー狂詩曲第六番」の旋律も入っていて非常にユーモアに富んだ曲です。多様な解釈のできる曲でもあり、シンプルな演奏から現代的な技巧を散りばめた演奏まで、たくさんのバージョンで音源化されています。ちなみに、本人演奏の音源が残っておらず、どれがスタンダードなものかはわかりません。

5.フランツ・ヨーゼフ・ハイドン 『チェロ協奏曲』

ドヴォルザークシューマンと並んで、3大チェロ協奏曲とされるのがこの曲です。ハイドンによるチェロコンチェルトは6曲あるとされてきましたが第4~6番は偽作、第3番は紛失とのことで、第1番と第2番のみが真作として残っています。第1番についても、見つかったのが比較的最近で、1961年にプラハで楽譜が発見されてからいっきに広がりました。

第1番と第2番はともに、ハイドンがエステルハージ侯に仕えていたときに宮廷楽団のチェロ奏者のために書かれました。特に第2番については、チェロによる非常に高度な技巧が取り入れられているため、チェロ奏者であるクラフトが作曲したと疑われたこともありました(クラフトの息子も自分の父の作曲だと公言)。しかし、いまではこれがハイドンの先進性を示すものだと考えられています。

チェロコンチェルトの第1番、第2番を聴くと、独奏チェロが主体となって進行するパートが多く、速いパッセージやオクターブの重音での上下動などチェリストの高度な技巧が堪能できます。チェロの表現力の豊かさがよくわかる曲でしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。名曲を通してチェロの音色が堪能できたかと思います。チェロは圧倒的に大きな音量、広い音域、優雅だったり温かかったりダイナミックだったりと、非常に表現力豊かな音色が特徴です。聴けば聴くほど素晴らしさがわかってきますので、ご紹介した曲をまたじっくりと聴き返してみてください。

また、同じ曲でも奏者によってまったく表現が変わってきます。日本のチェリストにもスゴ腕の方がたくさんいますので、聴き比べてみるのもよいのではないでしょうか。アーティストは、また別の機会にご紹介したいと思います。

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投稿者
大学では心理学、教育学を学ぶ。なりゆきと内発的動機に身を任せ、福祉やIT、運動指導などの職域を渡り歩くノマドワーカー。現在関心のある分野はパフォーマンス向上のためのライフハック。その日の脳内BGMを朝決めている。