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MAY,2020
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【トロンボーンのマウスピース講座】メリットや効果的な練習方法を現役講師が解説!

投稿者 :井浪 直子

トロンボーンのマウスピースを練習するメリットとは?

メリット①:息を無駄なく使える

たかがマウスピース。マウスピースの練習なんて聞いたことがないし、そもそも楽器を吹く前に少し唇慣らしで吹くものだし。と、思いがちですが。されどマウスピース。楽器の基本はマウスピースなのです。

マウスピースは人間の体で言う【声帯】の部分です。風邪などで喉が腫れると上手く声が出ないように、マウスピースを上手くコントロールしてできないと、上手く音が出ないのです。

でも、実際は音、出ますよね?それは、声帯を無理やり使って怒鳴っているのと同じです。無理やり吹けば音は出ますが、かなり損をしています。

損って何を?ズバリ、【息】です。無理やり吹くと言うことは、必要以上の息を入れてしまっています。マウスピースをマスターして、楽な呼吸で豊かな音が出せるようにしましょう。

メリット②:ピッチが安定しやすくなる

マウスピースを極めると、息も無駄なく使えるようになります。それにより、ピッチがかなり安定します。トロンボーンは楽器の構造上、ピッチを正確にとるのがかなり難しい楽器ですが、ピッチが安定しない原因も【息】にあります。

それぞれの音域や音に合った息を入れることでピッチは格段によくなりますが、どの音域でどれぐらいの息が必要で、どういった唇の形のなるのかは、楽器をつけてしまうと、楽器が勝手にある程度補正してしまうので、マウスピースの段階でしっかり確認しておきましょう。

マウスピースだけで正確なピッチが取れるようになると、楽器の補正に頼らず安定したピッチになるので、格段に吹きやすくなり、音色も豊かになります。

メリット③:ミスの原因がわかるようになる

また、マウスピースで【息】と【ピッチ】が正確に吹けるようになると、自分のミスの原因もすぐにわかるようになります。

例えば音階の練習でどうしても引っかかってしまう音がある時、闇雲に練習しても上手くはなりません。

何が原因で引っかかり、どう改善したら良いのかを考える必要がありますが、マウスピースをきちんと練習していれば、息の入れ方なのか、口の形なのか、ピッチ感のずれから生じるものなのか、自分が躓いた原因がすぐに見つけられるようになります。

トロンボーンのマウスピースの練習方法3つ

練習方法①:息だけで吹いてみる

マウスピースだけで練習するときは、まずはバズィングせずに、息だけを入れてみましょう。マウスピースだけの練習は、先述した通り、楽器の上達に不可欠な練習ですが、楽器よりも抵抗感が強いので、無理にマウスピースを鳴らそうとしてしまうと、楽器よりも力が入り、息もオーバーブローになってしまいます。まずは息だけをゆっくり入れてみましょう。

もしかしたらこの時点で音が鳴ってしまう人がいるかもしれません。その場合は力みすぎている証拠ですので、息だけをしっかり入れられる程度まで、唇の緊張をほぐして吹いてみてください。

練習方法②:バズィングは強く長く

息だけを入れられるようになったら、今度はバズィングしてみましょう。この時に注意する点は、【強く】【長く】です。先ほどの【息の量】をしっかり意識して、それ以上の息は入れないようにしつつ、しっかりとバズィングしましょう。息だけに頼ったり、息を入れすぎると、か弱いバズィングになります。息の量はさっきのまま、しっかりバズィングの音がなるくらいしっかりと唇を震わせてみてください。

そしてその音をできるだけ【長く】吹いてみましょう。しっかりしたバズィングでも、長く保たないようであれば、少し力みすぎているか、息を入れすぎています。しっかり吸った分だけ伸びる長さを意識して吹いてみてください。【強さ】と【長さ】がバランスよく吹ける吹き方が、正しいバズィングの吹き方です。

練習方法③:音程をとってみよう

しっかりとバズィングできるようになったら、今度は音程を取ってみましょう。今はスマホにもピアノのアプリなどがあるので、ピアノアプリやチューナーの音が出る機能を使って、鳴っている音と同じ音を吹いてみてください。

楽器のロングトーンと同じように、マウスピースでも、一定の長さで、吹き始めから吹き終わりまでピッチが安定するように、しっかり音程を取ってみましょう。

マウスピースの練習方法【ステップアップ編】

低音から高音まで繋げて吹けることが重要

マウスピースだけでしっかりピッチが取れるようになったら、今度は楽器に近い練習をしていきましょう。

まずは、今マウスピースで出る【一番低い音】から、【一番高い音】までを、一息で一気に繋げて吹いてみてください。これは、色んな音域を、マウスピースの位置を変えることなく吹く練習です。楽器で言えばリッピスラーのようなものなのですが、例えば【高音の唇】【低音の唇】など、吹く音域でマウスピースに唇が当たる位置を変える方が吹きやすい、という方がいます。ですが、吹く位置をその都度変えていると、跳躍の大きい曲などを吹くのが困難になります。全ての音域を全く同じ唇で吹くのは不可能ですが、吹く位置は動かさないのが鉄則です。

低音から高音まで繋げて吹けるということは、唇の変化はあっても、位置は同じ所で吹けているということなので、この練習を頑張ってみてください。

吹きたい曲や練習曲をマウスピースだけで吹いてみる

どの音域もしっかりと吹けるようになったら、今度は曲をマウスピースだけで吹いてみましょう
鼻歌を歌う感じで、好きな曲を流しながら、一緒に吹いてみてください。最初は上手くピッチが取れないかもしれないので、知っている曲、好きな曲で挑戦するのをお勧めします。頭の中に正しい音程があれば比較的吹きやすくなると思います。

慣れてきたら、練習曲なども、楽器で吹く前に、マウスピースだけで吹いてみましょう。正しい音程がわからない場合は、ピアノなどでガイドの音を弾きながら吹いてみてください。

楽器を付けた時とマウスピースだけの時でピッチ感が狂わないかチェック

マウスピースをしっかり練習したのに、楽器を付けると上手く吹けない、というときは、マウスピースで吹いていた時と楽器を付けた時のピッチ感が違わないかをチェックしてみてください。楽器を付けると、重みや抵抗感が変わるので、同じように吹いているつもりでも、マウスピース以上に力んでしまっていることがあります。

チェックの仕方はすごく簡単で、楽器のスライドをロックし、左手だけで楽器を構えます。マウスピースを半分ぐらい抜いて、チューニングB♭を出します。楽器で音を鳴らしたまま、マウスピースを抜いてみてください。楽器と同じ音が鳴っていれば正解です!

もし、楽器よりも高かったり低かったりしたら、楽器を付けることによってピッチ感が変わってしまっているので、今の過程を何度か繰り返して正しいピッチ感にしていってください。

トロンボーンはマウスピースからしっかり練習しよう

楽器の上達のスピードが早くなる

マウスピースからしっかり練習すると、息の量や力みなども上手く調整できますし、何よりもピッチが格段に安定します!!正直、マウスピースだけの練習なんて、面白くもないし、なのに結構しんどいし地味な練習ですが、この辛く地味な練習をしっかり積むことによって、そのあとの上達スピードが変わるなら、頑張って練習を始めてみましょう♪マウスピースも慣れてくると、好きな曲の練習など楽しくなってきます♪

マウスピースだけなら自宅でも練習できます

そしてこのマウスピース練習の一番のメリットは、【家でできる】ということです!マウスピースだけなら、マンションや住宅街でも吹けます。楽器の組み立ても必要ないので、省スペースで済みます。音楽を聴きながら、テレビを見ながら、など、ながらでも気軽に練習できるのに、結構良い練習になるので、毎日どこかのスタジオで楽器を練習するのが難しくても、マウスピースなら毎日自宅で練習できますね♪

EYSならマウスピースからしっかり指導

EYS音楽教室なら、いきなり楽器!とにかく楽器!ではなく、このマウスピースからゆっくりご指導致します!楽器を吹く場所がなくても上達できるように、マウスピースでの練習方法もしっかりとお伝えできます。せっかく教室に通うのに、自主練習があまりできずレッスンの時間が無駄になる、ということや、いくら練習しても上手くならず、原因もわからず、などということにはなりません♪しっかりとマウスピースから練習できるEYS音楽教室で、トロンボーンを始めてみませんか♪

最後に

たかがマウスピース、されどマウスピースです!楽器の基本がたくさん詰まったマウスピースをしっかり練習して、楽器の上達を目指しましょう♪

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MUSIC LESSON LAB
投稿者
中学からトロンボーンを始め、専門学校(OSM)を卒業後、東京で録音エンジニアとして活動。帰阪後、トロンボーンを大迫明氏・松下浩之氏に師事。 現在は関西を中心に、自身のリーダーバンドの“nica”(オリジナルインストポップバンド)の他、JAZZ、FUNK、フュージョン、サルサ、BigBandなどで活動中。 数年前からはクラシックの分野でも活動を始め、様々なソロコンクールで本選に出場。 オーケストラでも活動中。