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MAY,2020
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【トロンボーンのポジション基本講座】基本の7つや取り方のコツを現役講師が解説

投稿者 :井浪 直子

トロンボーンの基本の7つのポジションを覚えよう

最初はできるだけ見ながら覚える

トロンボーンのポジションは上図の様に7つあります。この7つのポジションを自在に操らないといけないのですが、楽器に線などがあるわけではなく、あくまでも【感覚】で覚えなければいけません。唯一3ポジションだけが、【ベルの横】という目安があるものの、後でも説明しますが、あくまでも目安であって、絶対的なものではないので、やはりどのポジションも自分の感覚が必要です。

曲を吹く時などは、譜面も見ないといけないので、スライドだけを見続けることは不可能ですが、ロングトーンなどの基礎練で、譜面を見なくても吹ける場合は、正しいポジションできちんと吹けているかどうかを、できるだけスライドを見て確認しながら吹きましょう。

スライドを見る癖がつくと良くないのでは?とのご質問をいただくこともあるのですが、まだ楽器に慣れていない場合、スライドを見ずに吹いていると、自分では正しいポジションで吹いているつもりでも、だんだんとポジション同士の間隔が狭くなっていたり、他のことに気を取られ正しい位置で吹けていないことが多いです。楽器に慣れると自然とスライドを見なくても吹けるようになるので、まず初めはしっかりスライドを見て、正しい位置で吹く良い癖を身に付けましょう。

ベルは触らないように

先ほども少しお話ししましたが、3ポジションだけは唯一目安のベルがあります。目安になるのでついついポジションが合っているのか確かめたくなり、ベルを触りながら吹いてしまいがちですが、3ポジションが来るたびに毎度触っていると、その時だけ持ち方が変わり、スライド捌きが遅くなってしまいます。スライドが遅くなるのは演奏する上でかなりネックになるので、あくまでも目安と捉え、しっかりと自分の感覚でポジションを覚えてください。

アンブシュアよりもポジションを優先

例えば2ポジションのEの音を吹いた時、ピッチが高いと思ったらどうしますか?ピストン楽器の場合は、どうしてもアンブシュアで変えないといけせんが、トロンボーンはスライドで微調整できます。スライドは全て感覚だからピッチを合わせるすごく難しい楽器だと思われることが多いのですが、実はその逆で、いくらでも微調整ができるので、きちんと練習すれば、どんな楽器より一番正確なピッチで吹くことができるのです。

なので、ピッチを微調整するときは必ずスライドで微調整しましょう。他の楽器同様アンブシュアで合わせてしまうと、音色が変わってしまいます。そして、アンブシュアで調整しきれず、アンブシュアを変えながらスライドも動かしてしまうと、本来の吹き方もできないままピッチも合わない、という負のスパイラルに陥ってしまいます。

もちろん、吹きすぎて疲れた時などは、アンブシュアの微調整が必要な場合もありますが、まずはスライドで微調整して正しいピッチの位置を覚えましょう。

トロンボーンのポジションの特徴を覚えよう

ベルの向こう側は別世界

トロンボーンのポジションには、それぞれ少しづつ特徴があります。中でも最も特徴的かつ、この特徴を知らないと、間違った頑張り方をしてしまうのが、ベルより遠い4、5、6、7ポジションです。

トロンボーンは単純に伸縮するだけではなく、楽器の長さが変わると当然必要な息の量も変わりますし、楽器から押し返される抵抗感も変わります。ポジションが変わるともちろん抵抗感はそれぞれ変わるのですが、1、2、3ポジションはそんなに吹き心地は変わらず、ベルから遠くなる4ポジションになると一気に抵抗感が変わります。楽器の種類に関わらず、変化の大小は多少ありますが、トロンボーンという楽器の特性上、どの楽器もベルから向こうは別世界になります。

このことをしっかり念頭に置いておかないと、リップスラーなど、1、2、3ポジションまでは順調でも、4ポジションから吹けなくなることは多々あります。これは練習不足などと思いそのまま頑張って練習してしまうのは勿体無いので、4ポジ以降は抵抗感が変わるから少し息の入れ方を変えて練習してみるなどの対策を取りましょう。

5ポジションはどんな楽器でも出しにくい

4ポジション以降の抵抗の中でも、5ポジションは本当に吹き辛いポジションです。ポジションそのものに全く目安がないので取りにくいのはもちろんですが、抵抗感が一番強く、引っかかりやすいポジションです。先述した通り、どんな楽器でも出しにくいポジションですので、上手に付き合っていきましょう。

リップスラーなどの基礎練習のとき、一般的には1ポジションから順に練習しますが、抵抗感が変わったり、吹きにくいポジションで常に引っかかってしまうと楽しく無くなってしまうので、吹きにくポジションや7ポジションから練習するなど工夫してみましょう。

ポジションの取り方は要注意

抵抗はなくても注意が必要なのが2ポジションの取り方です。2ポジションは、スライドを全部入れた状態の1ポジションと、ベルの横の3ポジションのちょうど間です。ただし、この【間】というのがミソで、スライドのどの位置が間になるのかをしっかり確認しましょう。

スライドには中管と外管があり、外管にはスライドを持つための支柱があります。本来の2ポジションは、この【支柱】が、1ポジションと3ポジションの間になる位置なのですが、慣れていないと、ついつい目に入ってしまう外管の入り口で位置どりをしてしまう場合があります。

外管の入り口と支柱までの長さは楽器によってかなりのばらつきがあるので、外管の入り口で一度りしてしまうと、かなりピッチが狂うことになってしまいます。2ポジションはしっかりと横からもみながら、位置の感覚を覚えていきましょう。

同じポジションでも音によって少しづつ位置を変えることが大事

音ごとに微調整が必要

トロンボーンという楽器は、バイオリンなどと同じ【純正律】で音程を取れる楽器です。ピアノのような鍵盤楽器は、1オクターブを12で割って割り当てていますが、実際には音にもそれぞれ個性があるので、きっちり12で割ることはできません。ピアノなどは純正律で調整するとあまりにも鍵盤の数が必要になるので現実的ではありません。でも、トロンボーンはスライドで微調整できるので、純正律で音程を取ることができます。

ということは、同じ2ポジションでもEとAでは少しづつポジションが異なります。この微調整をしっかり行うことにより、より正確なスライド捌きや、音程を手に入れることができます。また、各音で微調整がきちんとできる癖がつけば、他の楽器とハモった時に、正確なハーモニーが出せます。

スライドを使って微調整

この微調整は、必ずスライドで行いましょう。アンブシュアでピッチをコントロールしてしまうと、音色が乱れる原因になります。少しづつ微調整をして、各楽器のベストなポジションを確認しましょう。

曲の時にこの微妙な調整を気にすることはとても難易度が高いので、まずは基礎練習の時に、特にロングトーンの時にしっかり微調整していきましょう。慣れてくると、意識せずともベストポジションで吹けるようになります♪

ピッチ感を鍛えることが大事

とはいえ、どうしたら微調整が上手くいくのか、初めは難しく感じると思います。とにかく日々の訓練が必要なのですが、あまり難しく考えずに、次の練習をしてみてください。

ピッチ感を鍛えるために、ピッチを取るときは必ずチューナーや鍵盤で音を【鳴らして】練習してください。チューナーの針を見てしまうと、無意識のうちに無理やり合わせに行ってしまったり、自分の音が高いのか低いのかの判断ができなくなります。

音を聞いて合わせるのは、かなり難しく感じるかもしれませんが、わからなければゆっくりかつ大胆にスライドをどちらかに動かしてみてください。スライドを長くすれば音程は低くなり、短くすれば高くなります。ゆっくり動かせば、ぴったりハマるところに出会えるので、それまで根気よく、微調整していきましょう!

最初のうちに正しいポジションを覚えよう

楽器の上達のスピードが早くなる

楽器を初めて持った時から、きちんとしたポジショニングをしっかり覚えると、そのあとの練習が格段に楽になり、上達スピードも早くなります!ポジションを正確に取れるということは、ご自身のピッチ感も格段に良くなるので、他の楽器と演奏する時にもかなり役立ちます。

せっかくトロンボーンを始めるのであれば、ポジションもしっかり正しい位置を覚えて練習していきましょう。

EYSならポジションからしっかり指導

EYS音楽教室なら、初心者の方でも、ポジションからきっちりご指導致します。講師がしっかりポジションを見ているので、最初は吹くことで一生懸命でも、講師が正しいポジションに修正してお手伝いできます。一人でポジションを見ながら、気にしながら、そんな器用にはできない!という方も、安心してレッスンを受けていただけますし、4ポジション以降上手くできなくても、焦ることの無い様、しっかりサポート致します!

最後に

ポジション一つとっても、とても奥深い楽器だと思います。その分、始めるのにハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、だからこそ、オンラインなども駆使して、ぜひレッスンを受けてみてください。講師と二人三脚で練習すれば、上達も早く、成果もしっかり見えます♪この機会にぜひ、トロンボーンを始めてみてはいかがでしょうか♪

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MUSIC LESSON LAB
投稿者
中学からトロンボーンを始め、専門学校(OSM)を卒業後、東京で録音エンジニアとして活動。帰阪後、トロンボーンを大迫明氏・松下浩之氏に師事。 現在は関西を中心に、自身のリーダーバンドの“nica”(オリジナルインストポップバンド)の他、JAZZ、FUNK、フュージョン、サルサ、BigBandなどで活動中。 数年前からはクラシックの分野でも活動を始め、様々なソロコンクールで本選に出場。 オーケストラでも活動中。