05
JUN,2020
JUN,2020

バイオリンで黒うさPの「千本桜」を演奏|弾き方・ポイントを現役音楽講師が解説!

# 音楽ーアーティスト

投稿者 :沼田翼

黒うさPの「千本桜」とは

今回はボーカロイド「初音ミク」を使用した黒うさPさんの楽曲「千本桜」を演奏してみました。

この曲はボーカロイド楽曲の中でも特に人気の高い、最も知名度のある曲の一つなのではないでしょうか。近年では紅白歌合戦で小林幸子さんが歌われたり、和楽器バンド等ポップス畑の方々に沢山カバー演奏されているからかもしれませんね。この楽曲を語る上ではまず『ボーカロイド』について少し触れなければいけませんね。ボーカロイドとは実在する人間が歌うのではなく、コンピューター上で入力した音を歌ってくれるソフトウェアの事を指します。黒うさPさんはいわゆるニコニコ動画などをはじめとした第1期ボカロP(ボーカロイドプロデューサーの略)の1人でもあり、筆者の大学時代の仲良くして頂いている先輩でもあるkz livetuneさんらと同世代の初めてボーカロイド作品を世に出した方の1人です。

筆者も大学時代、DTMいわゆるパソコンで音楽を制作する学部に居たのでボーカロイドの知識はある程度ありますが、ボーカロイドは流暢に歌わせるのがとても難しいのです。音が途切れ途切れになってしまったりどうしても発音がロボットちっくになってしまったり、、、、そのような問題点を早急にクリアして名曲達を世に出して行った先輩方の功績はとても凄いものだと僕自身感じています。

特に、この千本桜は日本古来の哀愁感漂うメロディー+アニソンやボカロ曲特有の音数が多い事がとても人気になった理由hの一つではないでしょうか。アニソン/ボカロ曲が特に若者に人気がある理由がいくつかありまして、まずはテンポが速いこと。音数が多い事。メロディアスである事。音が跳躍する事。

少し作編曲の話になってしまいますが、ヒット曲を作る上でのセオリーはある程度あるんです。アニソン/ボカロ系では主に上記の要素が人気曲には多いです。特に、ボカロ曲では「人間が歌わない/歌えない」を前提に制作される場合が多いので音の跳躍が多かったり音数が多かったりしてしますのです。

逆にこの音数が多かったりする難曲を歌えてしまう小林幸子さんを始め、水樹奈々さんやLiSAさんら昨今のアニソンシンガーの方々の技術力は相当高いと筆者は思っております。

千本桜を演奏する上での特徴

次は千本桜を実際にヴァイオリンで演奏する際のポイントです。そもそも、ポップスを演奏する時にはリズムがクラシックとは違うのであまり譜面を見過ぎない事がポイントです。千本桜を実際に弾いてみて思ったのは「音の跳躍が多い」「音数が多い」でした。音の跳躍が多いという事は自ずとポジション移動が大変になってくるのです。3rdポジションは勿論の事、後半遠くに転調した後は5.6thポジションまで出てきたりしますので、まずはポジション移動をしっかりキメられるといいですね。そして、ポジション移動をしながら音数に対応するには弓を細かく動かしてあげなければなりません。ヴァイオリンで演奏するとはいえ、曲的には後ろでドラムなどロックな楽器が鳴っている前提で作曲されている曲なので細かくてもハッキリと弾いてあげましょう!

ヴァイオリンインストラクター沼田翼による千本桜を動画でチェック

ここでは実際に筆者が【千本桜】を弾いてみました。

Aメロを解説

まず、Aメロですが、「タータッタ」というリズムが基本形になっています。ボーイング(弓使い)はダウンアップアップと、三拍子に出てくるやり方でもいいのですが、なるべくしっかり発音できるボーイングにしてあげましょう。前述しましたが、あくまで【後ろでドラムやロックな楽器が鳴っている】事を忘れないでください。バックの楽器達に負けないようにしっかりと発音してあげなければなりません。少しばかりスピッカートのように弓を飛ばしてあげるくらいの気持ちでもいいかもしれません。ハッキリと、でも軽々と弾いてあげるとカッコいいと思います。

Bメロを解説

BメロではAメロとうって変わって4分音符中心のフレーズになります。ただ、その代わり音域が非常に広いです。D線からE線まで使われるので表情豊かに弾いてあげたいです。一概に標高豊かに、と言ってもイメージしづらいと思うので具体的にはビブラートとクレッシェンド&デクレッシェンドですね。思い浮かべて頂きたいのはそれこそ小林幸子さんを始めとした演歌歌手の方々です。演歌歌手の方々が低音から高音に歌い上げるシーン…とてもカッコいいですよね。音域、音程の推移に合わせてダイナミクスも合わせてあげると、より表情豊かになります。逆に、ロングトーンだからと言って油断しているととてもノッペリとした音になってしまうので油断せずにいきましょう。

サビを解説

サビ、この曲の中で最も有名であり印象深いフレーズですね。ここで立ちはだかってくるのは「跳躍する音程」なのです。アニソン/ボカロ曲特有の楽曲セオリーですが、ヴァイオリンはポジションさえしっかり取れていればサビの跳躍音程はさほど難しくないかもしれません。ただし、原曲のテンポが結構速いのでこのテンポを維持したままポジションがしっかり上がれるようになっていないといけませんね、まずは、どこの音で3rdポジションに上がってどこで降りるかを明確にしておきましょう。ポイントはしっかりと左手の親指をポジションに合わせて動かしあげる事です。ポジション移動は親指に左右されると言っても過言ではありません。例え、普段使っている3rdポジションと言えどテンポが上がってくれば同じ精度を出すのは難しいので慌てずにゆっくりなテンポから確実にポジション移動できるように練習しておきましょう!

アウトロを解説

アウトロはラスボス感満載ですね!この曲の中で一番難易度の高いセクションだと思います。音の跳躍、音数の多さ、テンポの速さ、難しい三要素が全て揃ってしまいました。このような曲で意識したいのは「なるべくポジションを動かさない」事だと思います。千本桜だけではなくどの曲にも言える事ですが、ヴァイオリンはピアノやギターと違って毎回毎回そこを押さえれば同じ音が出る楽器ではありません。そのような楽器でテンポの速い跳躍する音の数が多い曲を演奏する為にはしっかりとメロディーを頭の中でに思い浮かばせておかないと身体が対応できません。テンポが速いので弓は元の方でしっかり発音してあげてください。人間が演奏するように作られた曲ではないので難しい事は仕方がないのですが、一つ一つ確実にクリアしていけば弾けない曲ではないので雑にならないように注意して練習してみましょう。

EYS音楽教室ならプロからテクニックを徹底的に学べる

入会すると無料でヴァイオリンがもらえる!

EYS音楽教室では経験豊富なインストラクターが多数在籍しております。一概に「○○を演奏したい」と言っても楽譜通りに演奏するのは楽器を演奏できる人ならどなたでも演奏する事が可能です。しかし、その楽曲やジャンルのバックボーンをどれだけ知っているかがプロフェッショナルなインストラクターなのではないかと筆者は思います。

私は演奏家出身なのでかなり幅広いジャンルを演奏し、沢山の方々とセッションをしてきました。この事でとても理解が深まったのは得意なジャンルは1つだけに絞らない方がいいという事です。楽器を演奏する上で「固定概念」は最大の弊害となってしまいます。特に、今回の千本桜のように演奏するのはヴァイオリンでも【実際にドラムと演奏した事があるヴァイオリニスト】と【クラシックしか演奏した事のないヴァイオリニスト】では演奏方法やリズムの取り方がまるで違います。EYS音楽教室では筆者を始め様々なフィールドで演奏経験を積まれてきたインストラクターが多数在籍しておりますので、納得できるまで徹底的に指導できる事ができます。

無料体験レッスン実施中

EYS音楽教室では無料体験レッスンを随時開講しております。特にヴァイオリンは「無料楽器プレゼント」という太っ腹なキャンペーンも行なっております。楽器を始めるのはハードルが高いのではないか、と筆者はこの教室に出会うまで思っていました。しかし、ハードルの一つである「楽器を購入する」という右も左も判らない壁をインストラクターとともにクリア(というかプレゼント)する事によって身近に音楽を感じたいという希望は簡単に実現できてしまうと思います。音楽は気軽なもので良いと思います。気軽でなければ楽しむ事はできません。特に、ヴァイオリンは敷居が高いと思われがちですが、そんな事は全くないのです。ぜひ、この機械に「ヴァイオリンを演奏するのはとても気軽だった」事を体験しにきて頂きたいです。また、EYS音楽教室ではZOOMを使用したオンラインレッスンも開講しておりますので、思い立った時にスグ楽器を開きレッスンを受講して頂く事が可能です。

最後に

いかがでしたでしょうか?今回はヴァイオリンとボカロ曲という一見物凄く離れたジャンルの演奏でした。上述しましたが、その曲がどういうバックボーンであるかを知るのは曲を演奏する上でとても大事な事だと筆者は思っております。これは例えクラシックであっても同じです。技術は練習すれば習得できます。しかし、時代背景や産み出された状況は作曲者の考えなど色々あると思うのです。時代を超えて「譜面」という無機質な媒体をヴァイオリンを介して音楽として具現化する事ができるのは作曲者達が一番望んでいる事なのではないでしょうか?筆者も楽曲を制作しますが、その際にどんな編成で、どんな人が、どんな楽器で演奏してくれるのかを考えただけでワクワクします。もちろん、今回の千本桜のようにボーカロイドで歌ってもらう為に書いた曲がヴァイオリンで弾かれてしまってもそれはそれで新しい発見かもしれません。

現代に生きる我々だからこそ、古代の曲から現代のアニソン/ボカロ曲まで幅広く見識があり、理解がある。そんな演奏者であろうと思いますし、その思いを生徒さん達にも紡いで行こうと思っております。最後まで読んで頂きありがとうございました。またどこかでお会いできる事を楽しみにしております。

この記事をシェアしよう!
MUSIC LESSON LAB
投稿者
音楽大学卒業/村上‘PONTA’秀一 氏に師事。めざましテレビ『超絶技巧選手権』への出演や、テレビドラマ/アニメの劇伴レコーディング、夏フェスへの出演、平昌オリンピック関係者懇親会や大田区政60周年記念式典でのパーティー/ブライダル演奏など、活動は多岐に渡る。さらに、バンドマスターとして、ホール規模のコンサートや、レコーディングのコーディネート業務も行なっている。 また、趣味の海外旅行をきっかけに、ボストン、バリ、ハワイ等でのセッション経験も多数。 Roland、EVANS、Pro-Mark各社よりサポートを受けるエンドース・プレイヤー。