新しい楽器に挑戦！ギター歴23年、ベース歴20年の僕が代官山で出会ったサックス。忘れていた音楽の喜びに震えた話

今から25年ほど前、僕が小学生の頃の話。当時、全国的にそういう習わしがあったのかどうかは不明ですが、とにかく僕の育ったエリアでは、小学校の6年生になると「トランペット鼓隊」というのを学校単位で行っていました。5年生の終盤から練習が開始され、6年生の運動会などのイベント、そして街を練り歩くパレードなどで演奏するのですが、その名の通り主役はトランペット。多くの友人たちが若きトランペッターとなりましたが、僕はまったく吹けず、音すら出ず、もっとも地味であろう中太鼓を担当することに。以来、トランペット、さらに管楽器というものにコンプレックスを感じていました。その後高校時代にはギターを始め、ベースも覚え今も音楽と関わっていますが、管楽器は憧れの対象であり自分とは関係のない世界のもの。好きなマンガは？ と人に問われると『BLUE GIANT』と、サックスマンガの代表を挙げるのに、サックスとの距離感はまるで縮まらず、気づけば40代が目前というところまで来てしまいました。

代官山の

サックス教室

が、時は満ちた。小学5年生の挫折から四半世紀を経て、ついに管楽器リベンジを果たすときがやって来たのです。よく仕事帰りに足を伸ばしてショッピングを楽しんでいた、代官山の街にサックス教室があるというではありませんか。そのスクールはWe Art代官山。東急東横線代官山駅から徒歩3分と近いから代官山で散歩したついでにサックスを教えてもらえるんです！ 無料体験レッスンがあるということで今回思い切ってサックスにチャレンジすることにしました。いざ、体験レッスンを訪れてみると代官山スタジオはご覧の通りピカピカ、美しいスタジオにびっくりしました。巨大なダンスルームもあり、老若男女さまざまな人が利用しているそう。

教室は個室に分かれていて、落ち着いてレッスンを受けられます。ギターやベースを弾く際に街にある音楽スタジオに入ることはあるけれど、こんなちゃんとしたレッスンスタジオというのは初めてで、早速緊張してしまいました。そして本物のアルトサックスを借りてレッスンスタート！

先生は代官山のスクールでサックスの講師をしてらっしゃる嘉野聡美先生。聞けば、音楽大学を卒業後、陸上自衛隊の音楽隊でも活躍されていたという、ガチガチのプロの方です！ 超ウルトラ初心者にして、なんなら管楽器には挫折の思い出しかない僕が、いきなりサックスのプロ奏者に教えてもらえるなんてそれだけでうれしいですね。

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サックス教室

「まずはサックスを組み立てるところからスタートしましょう。サックスってこんな風にいろんなパーツがあるんですよ」
先生に教わりながらサックスを組み立てていきます。思えば、サックスを手にするのは本当に人生初。ビクビク、緊張しながら楽器に触れるこの感覚、なんとも懐かしいです。
「そうそう、こちらはスクールのオリジナルアルトサックスで1年間レッスンを続けていただくのが前提ですが、楽器をプレゼントしているんです」
ま、まじですか。それはうれしいですね！ サックスは素人用でもうん万円もするというから、このシステムは感涙ものです。パーツを組み立てた次はマウスピースにリードを取り付けます。木のリードが震えさせて音を出す楽器なんですね。情報としては知ってはいたけど、実際に取り付ける作業をやって見ると感慨深いです。こういう手順を丁寧に教えてもらえるのがうれしいですね。

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サックス教室

「さあ、それでは、いよいよ音を出してみましょう」
そう、ついにそのときが来ました。ここからはいよいよ音を出す時間。緊張しましたが。思い切り吹いてみるとアルトサックスらしい音がなんとか出ました！
「1回目からしっかりした音が出ましたね、スゴいです」
上の前歯をマウスピースに当てつつ、下の唇は巻き目、そしてリードを心地よく振るわせるのがコツ。なんとか音が出せてホッとしました。緊張した！
「サックスはトランペットなどと比べても音が出やすい。そういう意味でも初心者にオススメなんですよ。18世紀にできた新しい楽器なので扱いやすくて、できることが多いのも魅力ですね」
管楽器コンプレックスの僕もこれならいけそうです……と思ったのは最初だけ！ 安定した音を出し続けるのが本当に難しいんです。
「上の前歯がしっかりかかっていないと、音が出ないです。また口を当てる位置が浅くても深くてもダメ、そこが難しいんですよ」

最初は10回吹いて2回くらいしかキレイな音になりませんでしたが、少しずつコツをつかみ、打率はそこそこ上がってきました。次は高音域、ド、シ、ラ、ソを出してみます。リコーダーと似ているので、運指はすぐ理解できたのだけど、指の動きを考えると口への意識がおろそかに。また姿勢も前のめりになって吹いても変な音を連発してしまうことに。
「自然な姿勢で楽器を持ってくるというのが大事なんです。下半身の安定感や重心が重要ですね」
なるほど、楽器って指の動きが命かと思っていましたが、サックスは吹くときの口の形はもちろん、身体の姿勢も大切なんですね！ 全部が整わなければ良い音は出ない……、奥深い世界です！

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サックス教室

その後高音域がある程度普通に出せるようになり調子に乗っていた僕ですが、大きな壁が訪れます。それが「ミ」の壁です。ファ、レ、ド、ほかの音は出るのに、なぜかミの音がキレイに出せない！
「高音域のほうが音を出しやすいようですね。高音は息のスピードがほしくて、低い音はドーンと楽器の下に届けるような感じをイメージしてください」
なるほど、吹き方も微妙に変えないといけないんですね。これは難しい！でも楽しい！それでもなんとか体験レッスンのうちに何度も繰り返し、何度も失敗し大難関の「ミ」をクリアしました。できないことが、できるようになる。ちょっとうまく音が出せるようになる。これぞ音楽の醍醐味でしょう。何度も失敗することの切なさ。そして達成感とうれしさを実感。音楽を始めた頃は毎日感じていたはずなのに、ずっと忘れていたことを30分の体験レッスンのなかでたくさん思い出せました！

代官山では10代から70代と幅広い年齢層の人がサックスに挑戦していると、レッスン後嘉野先生は話してくれました。
「私の生徒さんには40代など大人の方も多いです。一番年上の方だと78歳の方もいらっしゃるんですよ。月に2回というペースでレッスンに通っていただいて、その時間をスゴく楽しみにして来てくださっていますね。ちょっとでも上手くなる、それを喜ぶことって大事ですね。そして何より、楽器に触れること自体がうれしいですよね」
確かにレッスンを受けて思ったのですが、サックスはちょっとの進歩をすぐ実感でき、レッスンに来るのが楽しみになる楽器ですね。コツがわかったり、少し調整したりするだけで別の世界に行けるという感覚がありました。
「サックスはかっこいいこともできるし、キレイな音も出せる。ジャズもクラシックもできる。本当に表現の幅が広いというのが魅力なんですよ。音も出やすいので初心者の方でも絶対、始めやすい楽器ですね」
今回、体験レッスンさせてもらいましたが、サックスの奥深さとともに、音楽の楽しさを再認識することとなりました。トランペットが吹けなくても、サックスはちょっと音が出たぞ、と小学校の頃の僕に言ってあげたい。また、ぜひサックスに触れる機会をつくりたいと思っています。もっとスラッと「ミ」を吹けるようになりたい！

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