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SEP,2017
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日本では年末になぜ「第九」を演奏するのか、大晦日に第九を演奏するワケ

# 音楽ネタ

投稿者 :ナカヤアキ

年末になると誰もが耳にする定番曲が、ベートーヴェンの「第九」のメロディ。

大都市では有名指揮者・オーケストラ・歌手によるコンサートはもちろん、大型アマチュア合唱団が結成されそのコンサートに参加したりと、年末の風物詩のようなイベントになっています。

でも、おおみそかに「第九」を演奏するのは日本だけってご存知でしたか?海外の国では、日本とは状況が異なるようです。今回は、年末になると日本で「第九」が演奏されるようになった理由、豆知識をお届けします。

ベートーヴェンの「第九」ってどんな曲?

ベートーベン 第九

クラシック史上最大のヒット曲として名高い「第九」。

一般的に「第九」と呼ばれるこのベートーヴェンの楽曲は、「シラー作の賛歌『歓喜に寄す』による終末合唱を持つ交響曲」というのが正式名称。

しかし、長いので彼の9番目の交響曲ということもあり「交響曲第九番ニ短調作品125」と表記されます。さらに短く「第九」という呼称が一般的に使われます。

この曲がオーストリアで初演されたのは1824年5月。当時の54歳のベートーベンは難聴が進み、この曲はほぼ耳が聞こえない中作曲したといわれています。

年末によく演奏されるのは「第九」の第4楽章「歓喜の歌」。この「歓喜の歌」は、「第九」の中のほんの一部でしかありません。

ドラマティックな楽曲の幕開けに相応しい第1楽章、豪快なティンパニが印象的な第2楽章、さらに歓喜に満ち溢れる第4楽章へのリエゾン的役割の安らかな第3楽章、と「歓喜の歌」が含まれる第4楽章以外にも素晴らしい構成を含む楽曲です。お時間があれば、全楽章通してぜひ視聴してみてくださいね。

近年、「第九」は鑑賞型から参加型へと変わりつつあります。毎年12月第1日曜日に大阪城ホールで開催される「サントリー1万人の第九」や毎年2月に両国国技館で開催される「国技館5000人の第九コンサート」などアマチュアでも大きなステージで「第九」を合唱するチャンスがあります。

「第九」を聞くだけでは物足りないという方はぜひともステージを目指してみてくださいね。

なぜベートーベンの「第九」は日本の年末の風物詩になったのか

年末 コンサート

日本ではすっかり年末の風物詩になっているベートーヴェンの「第九」ですが、海外では一部例外を除き年末に演奏されることはありません。

日本で初めて「第九」のコンサートを行ったのは、戦後間もない1947年のこと。新交響楽団(現在のNHK交響楽団)が、12月コンサートを開催し絶賛されたことが、年末に「第九」を演奏する習慣へと受け継がれていく契機となりました。

合唱は新年にむけての臨時収入を得るアルバイトのひとつとして人気があり、年末になるとオーケストラのために「第九」を歌う人が殺到したそうです。まだ混乱期の真っ只中だった当時、ドラマティックな「歓喜の歌」を聴いて元気をもらい、新年への活力とする人も多かったとか。

BGM どんな曲

日本で最初に「第九」が演奏されたのは、1918年6月、徳島県の鳴門市にあったドイツ兵捕虜収容所で行われたコンサートだったと記録されています。これは、第一次世界大戦の青島攻略戦で捕虜となっていたドイツ人たちによる演奏で、この演奏を聞けたのは捕虜兵と収容所の従業員のみだったそうです。

その6年後の11月下旬、上野の奏楽堂にて東京音楽学校(現東京藝術大学)の教授や生徒により本格的に全章演奏されました。1938年に新交響楽団がドイツから招いた指揮者ローゼンシュトックの勧めにより初めてプロの交響楽団による演奏が行われました。

「第九」が初めて12月に演奏されたのは、1943年に行われた学徒壮行音楽会で、この年の12月学生が徴兵され、また、1947年12月30日には戦没した学徒兵を偲び追悼演奏会が行われました。

同年12月、新交響楽団は「第九」コンサートを行い大盛況を収め、それ以降、「第九」は年末の風物詩として定着していったのです。

海外では年末にどんな曲が演奏される?

年末 演奏 

では、海外では年末にどんな楽曲が演奏されるのでしょうか。年末だからといって決まった楽曲を演奏する国は少なく、ドイツとオーストラリアの限られた楽団だけが年末に「第九」を演奏します。

例えば、ドイツのライプツィヒ・ゲバントハウス管弦楽団が第一次世界大戦後の1918年の年末に平和への願いを込めて「第九」を演奏して以来、おおみそかに演奏しています。オーストリアではウィーン交響楽団もまた12月30日と31日に「第九」を演奏します。

世界的には「第九」はどちらかというと祝典や特別行事の際に演奏されることが多い曲。アメリカやイギリスなどでは大晦日から年明けにかけて「蛍の光」を演奏することが多いようですが、他国では特に決まった演目を年末に演奏する習慣はないようです。

きっと日本では今年の12月31日にも、各所で「第九」が演奏されることでしょう。

まだ年末までは期間がありますが、なんだか聴きたくなってきたのでは…!?

▼「サントリー1万人の第九」を大迫力の360度映像で体感
https://www.youtube.com/watch?v=Q4qY5Csyz5E

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幼少から音楽のある環境で育ち、気がつけば音楽が大好きに。クラシック、ジャズ、ロックはもちろん地球上にある音楽が大好きです。明るく前向きに、をモットーに元気になれるストーリーをお届けします。