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OCT,2017
OCT,2017

バンドネオンとアコーディオンは違う!有名な奏者や曲をチェック

# 楽器

投稿者 :森本進也

みなさん、「悪魔が発明した楽器」と聞けば何を想像するでしょうか?

その楽器は、決して恐ろしいものではなく…アルゼンチンの舞曲タンゴに欠かせない楽器のバンドネオンです。バンドネオンはドイツ発祥の蛇腹楽器(※蛇の腹に似たもの)で、アコーディオンと似たような外見です。「悪魔が発明した楽器」と呼ばれる理由はその習得の難しさから。

日本において、バンドネオンはアコーディオンと比較すると知名度が低いマイナーな楽器でした。しかし、最近になって徐々にその名を知られるようになり、音色を聴く機会が増えています。ぜひ本稿でバンドネオンへの理解を深めてみましょう。

アコーディオンとバンドネオンの違い

アコーディオンとバンドネオンには大きく分けて3つの違いがあります。まず見た目は下記の通り。

バンドネオン
バンドネオンとの違い
アコーディオン

■鍵盤の形
アコーディオンは周知の様にピアノのような鍵盤がついているものと、ボタン式のものがあります。
一方のバンドネオンには必ずボタン型の鍵盤がついています。タンゴの演奏で用いられる標準的なバンドネオンには左33個、右38個の合計71個のボタン型の鍵盤がついています。このボタン型の鍵盤の配列が不規則であり、伸縮の度合いにより発音が変わります。それゆえに習得が難しく「悪魔が発明した楽器」と呼ばれているのです。

■持ち方
アコーディオンの背面にはベルトがついており、お腹側に抱えるようなスタイルで演奏します。一方、バンドネオンはボタン型の鍵盤の手前についているベルトに手をひっかけて演奏します。バンドネオンは重さが7キロ前後あり、座った姿勢で膝の上に置いて演奏することも多いです。

■音色
アコーディオンの音色が丸くソフトな音色だとするとバンドネオンの音色はシャープでストレートです。そんなバンドネオンの音色がタンゴの曲にピッタリということで、バンドネオンはタンゴ発祥の地アルゼンチンで広く普及していきました。

バンドネオンの歴史

バンドネオン 発祥

元々、バンドネオンはアコーディオンから派生した楽器です。オーストリア・ウィーンにてアコーディオンが開発されたのは1829年のこと。その後、アコーディオンを参考に、コンサーティーナという楽器が開発されます。さらにドイツの楽器製作家のハインリヒ・バンドがコンサーティーナを参考に1847年にバンドネオンを発明したといわれています。

バンドネオンはドイツの民俗音楽で演奏されていましたが、ドイツにおいてはあまり定着しなかったようです。

しかし、このバンドネオン。ドイツから遠く離れたアルゼンチンにおいて普及するようになります。そのキッカケは19世紀後半のアルゼンチンの海外移民の受け入れです。ドイツからの移民と共にバンドネオンもアルゼンチンに輸出されました。

タンゴは酒場などで、あり合わせのギターやバイオリンに合わせて踊っていましたが、コンサートホールなど広い会場で踊るようになると、ギターなどよりも大きな音を響かせる楽器が必要になります。ちょうどバンドネオンの音量や音色がタンゴの曲にピッタリだったこともあり、1910年代ごろからタンゴのメインの楽器として普及しました。

使用される音楽ジャンル

タンゴに使う楽器

バンドネオンはタンゴに欠かせないメインの楽器となっています。しかし、バンドネオンはタンゴのみならず、ポルカ、ワルツ、マーチ等の演奏で使用されています。

最近では、日本国内でも若手のバンドネオン奏者が出てきており、小松亮太氏がジブリ音楽をバンドネオンで演奏するなど様々な音楽ジャンルを演奏するようになってきています。

世界&日本の著名バンドネオン奏者

今回は、世界的に有名な奏者、日本のバンドネオンの草分け的な方、そして若手の奏者合わせて4名をご紹介します。

アストル・ピアソラ

アストル・ピアソラ(Astor Piazzolla)は1921年アルゼンチン生まれ。3~16歳まで米国ニューヨークで育ち、その間にバンドネオンを習得しました。1955年にアルゼンチン帰国後、エレキギターをタンゴに取り入れたり「タンゴの破壊者」と呼ばれるくらい革新的な活動を開始します。クラシック、ジャズ、ロックとタンゴを融合させ、タンゴの常識を覆しました。

ディノ・サルーシ

ディノ・サルーシ(Timoteo “Dino” Saluzzi)は1935年アルゼンチン生まれ。アストル・ピアソラが築いたヌエボ・タンゴの影響を受け、デュオ、トリオからファミリー・バンド、オーケストラまで様々な編成で独自のスタイルを作り上げました。

早川真平

早川真平は1914年生まれ。1947年にタンゴ楽団「オルケスタ・ティピカ東京」を結成しました。日本のタンゴ演奏の草分け的存在です。

小松亮太

小松亮太は1973年生まれ。14歳よりバンドネオンを習い始め、16歳よりカーチョ・ジャンニー二氏に師事。音楽理論を岡部守弘氏の元で学びました。1999年にニューヨークのカーネギー・ホールにてバンドネオンを演奏し全米デビュー。世界各国で演奏実績を持ちます。葉加瀬太郎氏、沢田研二氏、東京フィルハーモニー交響楽団など他アーティストとの共演も多いです。

平田耕治

平田耕治は1983年生まれ。13歳よりバンドネオンを習い始め、16歳でブエノスアイレスに渡り、現地にてカルロス・サラリ氏、ネストル・マルコーニ氏に師事。日本人バンドネオン奏者初のブエノスアイレス市立オルケスタ・エスクエラ・デ・タンゴ卒業者です。

日本で聴く機会がグッと増えたバンドネオンの音色。バンドネオンの歴史、タンゴとの関係に理解を深めることでより一層バンドネオンの演奏を聴くことを楽しめるのではないでしょうか。

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参考リンク
小松亮太インタビュー (1) 著作「タンゴの真実」編

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編集者・ライター。IT企業のオウンドメディア記事、コラム記事、セールスレター・、コーポレートサイトのテキスト執筆、英日翻訳で生計を立てています。趣味はサルサダンス、ギター演奏で楽しい時間を過ごすこと。