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AUG,2017
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コントラバスとウッドベースは同じ楽器? 意外と知らない歴史や特徴、有名曲

投稿者 :しも

世界中にさまざまな種類が存在する弦楽器。その中でも、一種独特な見た目と音色で知られるのが「コントラバス」です。

ギターやヴァイオリンといった花形の楽器とは違って地味に思われがちですが、オーケストラにおいて、なくてはならない縁の下の力持ち。

そんなコントラバスって、一体どんな楽器なのでしょう。

ウッドベース

コントラバスの歴史

同じような弦楽器にヴァイオリンやヴィオラ、チェロなどがありますが、これらの楽器と同じ仲間と言い切れない部分があります。コントラバスは16世紀にヨーロッパで生まれ、18世紀頃まで演奏されていた「ヴィオローネ(Violone)」という楽器が先祖にあたります。ヴァイオリン属ではなく、ヴィオラ・ダ・ガンバ属に属する弦楽器で、その中で一番低音域を担う楽器が「ヴィオローネ」だったのです。このヴィオローネが元になり、コントラバスに発展していきました。

ヴィオローネの指板には現在のギターのようにフレットが付いていました。しかしバロック期後半からチェロの影響を受けて進化を遂げ、フレットのない今のコントラバスの形が完成しました。また、ガンバ属の楽器は19世紀に入ってからも弦の数が3~6と幅がありましたが、現在では弦の数は4本もしくは5本になっています。

コントラバスは1950年代にフェンダー社のレオ・フェンダー氏が開発した「エレキベース」の基にもなっています。

エレキ ベース 

構造と特徴

ベース 種類

コントラバスの見た目の特徴は、何と言ってもその大きさ。

全長(ヘッドの先端からボディの下端)はだいたい180cmから200cmと大人の身長を超え、胴回りも50cmから60cmと充分な厚みがあります。

形はヴァイオリンやチェロによく似ています。

構造としては、中央にくびれがつき、f字孔と呼ばれるサウンドホールが彫られたボディに、弦を指で押さえる指版の付いたネック、調弦する糸巻が付いたヘッドといったメインパーツとともに、弦の振動をボディに伝えるブリッジ、弦を留めるテールピース、下部で長さを変えて楽器の高さを調節するエンドピンなどの細かなパーツで構成されます。

大きなボディの中は空洞になっていて、その中で弦の振動を共鳴することで、あのふくよかな低音が実現します。

弦は4本が一般的ですが、中には5弦のものも存在します。

チューニングは、4弦の場合、低い弦からE、A、D、G。5弦の場合、これにさらに低いCが加わります。

演奏方法

コントラバスはもともとヨーロッパで生まれ、クラシック音楽の領域で育まれてきた楽器。

クラシック音楽では、ヴァイオリンやチェロのように弓で弾く演奏方法(アルコ奏法)が基本のようです。下の動画が弓を使って演奏する様子です。

一方、ジャズでは指で弾くのが一般的。クラシックでも曲によっては指で弾くこともありますが、クラシックの場合これを「ピチカート奏法」と呼びます。

こちらの動画はジャズの名曲「フィーバー」。

リフレインするコントラバスのフレーズ…痺れます。

さらに、1950年代に黒人音楽のブルースから生まれたロックンロールと、白人音楽のヒルビリーやカントリーが融合して誕生した「ロカビリー」という音楽ジャンルでは、弦を指に引っ掛けて弾く「スラップ奏法」が演奏の花形。

ド派手なアクションとバキバキとしたアタックの強い音は、インパクト抜群です!

さまざまな呼び方

コントラバスは、じつにさまざまな別名で呼ばれています。

単に「バス」や「ベース」、「ダブルベース」と呼ばれることもありますが、エレキベースと区別するためによく使われるのが「ウッドベース」。主にジャズ領域で使われています。

「コントラバス」と同じくらい浸透している表現なので、「コントラバスとウッドベースは別の楽器?」と思っている人もいますが、同じ楽器を指しています。

ちなみに、「ウッドベース」は意外にも和製英語

海外では通じない呼び方です。

他にも、「ダブルベース」「弦バス」「コンバス」など、ここまでたくさんの別名が存在するのは、それだけ多くのジャンルで欠かせない存在として演奏されている証ともいえるでしょう。

ウッドベース 日本人

次に、コントラバスを演奏する有名アーティストを紹介します。

コントラバスといえばこの人

それでは最後に、知っておきたいコントラバス奏者を3人紹介します。今回はジャズのアーティストを中心にセレクトしました。

Milt Hinton

まず1人目は、アメリカ生まれのジャズベーシスト、Milt Hinton(ミルト・ヒントン)

50年代にはルイ・アームストロング オールスターズでも活躍し“ザ・ジャッジ”の異名を持つレジェンドです。

Milt Hintonの最大の魅力は、何と言っても心地よい4ビート。

小気味良いランニングベースは、フレーズもリズムも秀逸。

コントラバスの音色の魅力も存分に楽しめます。

▼ミルト・ヒントン「イースト・コースト・ジャズ・シリーズ Vol.5+1」

Esperanza Spalding

続いて紹介するのは、アメリカ出身の若き女性ジャズベーシスト、Esperanza Spalding(エスペランサ・スポルディング)

コントラバスを弾きながら伸びやかな歌も披露してしまうその様子は、まさに“音楽の神が微笑んだ”というべき魅力を放っています。

しかも、まだ32歳ということで、これからの活躍が楽しみなアーティストです!

▼エスペランサ・スポルディング「Junjo」

いかりや長介

最後に紹介するのはこの人。

「ザ・ドリフターズ」の三代目リーダーとして活躍し、コメディアンや役者以外にもミュージシャン、ベーシストでもあったいかりや長介さんです。

こちらのキリンラガービールのCMがあまりにも有名。

ちなみに、いかりやさんがこのCMで演奏しているのはコントラバスにピックアップと電気回路を備えた、エレキアップライトベースを使っています。

アコースティックなコントラバスよりも輪郭のはっきりした音で、いかりやさんの渋さがスタイリッシュに演出されています。

まとめ

いかがだったでしょうか?

コントラバスの魅力がお分かりいただけましたか。

今回紹介した動画はどれもコントラバスにスポットライトを当てたものばかりですが、ぜひ普通のオーケストラの演奏を聴くときも、耳を澄ませてコントラバスの音を探してみてください。

主旋律を下支えするふくよかな音色を見つけたとき、その影なる存在感に痺れることでしょう♪

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1984年生まれのフリーライター。 信州安曇野出身・東京多摩地区在住。 レゲエユニット「KaRaLi(カラリ)」でミュージシャンとしても活動中。